横浜検疫所の輸入食品・検疫検査センター(横浜市)。残留農薬の検査施設を持つ検疫所は、全国でも横浜と神戸の2カ所だけ(撮影/写真部・岡田晃奈)
横浜検疫所の輸入食品・検疫検査センター(横浜市)。残留農薬の検査施設を持つ検疫所は、全国でも横浜と神戸の2カ所だけ(撮影/写真部・岡田晃奈)

 中国や韓国などから多くの食品を輸入している日本。しかし時には、食品の安全基準を満たさないものが入ってくることもあるようだ。

 厚生労働省は毎年、残留農薬が基準値を超えていたり無認可の添加物を使っていたりするなど、規格基準を超え、食品衛生法に違反した事例を公表している。2012年度の違反件数は1千件を超す。国別に見ると、韓国は37件で7位だ。中国が221件と大きく上回るが、違反件数を検査件数で割った違反率は中国が0.22%なのに対し、韓国は倍以上の0.45%だ

 12年11月から今年10月までの1年間、韓国からの輸入食品の違反事例をまとめたリストによると、生鮮パプリカやとうがらしからはジフェノコナゾール(殺菌剤)、活しじみからはエンドスルファン(農薬)、高麗人参茶からは基準を上回る細菌…など、様々な品目から多様な有害物質が検出されている。日本で流通するパプリカの大半が輸入品で、その多くが韓国産と言われている。

 食品問題評論家で食品表示アドバイザーの垣田達哉さんは、

「韓国国内では昨年から今年にかけて食品汚染が相次いでいる。韓国の食産業は規模が小さく、メーカーも設備投資などにコストをかけられないのではないか」

 と見ている。『農薬毒性の事典』の共著者、河村宏さんや、これまでの研究報告などによると、ジフェノコナゾールはマウスの実験で肝細胞がんなどが認められ、エンドスルファンは有機塩素系の農薬で人畜に対する急性毒性が強い。

AERA 2013年11月25日号より抜粋