田中富広会長
田中富広会長

「一朝一夕に変わることは難しいでしょう。ただ、今回はメディアや公的機関などの『外圧』によってもたらされたとはいえ、過度な献金の規制や海外送金額の減額など、教団が発表した内容だけでも以前から見れば大きな変化があった。こうした外部の圧力があって初めて、日本教会としても、韓国本部による高額献金や海外送金の要請を押しのける口実が生まれるのではないか。現役信者の中にも、むしろ宗教法人格が失われ、社会の監視や規制が入ることで、初めて教団の正常化が進むのではないか、という声もあります」


「質問権」の行使など今後の教団への調査で、明らかにすべき点は何か。


「内部にいた立場からすると、問題の根本は、日本からの資金頼みの韓国指導部の教団運営と、韓鶴子総裁の権威を高めるための巨大な施設の建造などの過剰な消費文化にあったと感じています。09年以降は『霊感商法』もなくなり運営は正常化されたと教団は主張していますが、その後も韓国の教団施設建設に多額の資金が投入されていますし、その過程で、韓国指導部周辺での不透明な資金の流れの噂も聞こえてきていた。韓国本部にこそ調査のメスを入れるべきであろうと思います」


 櫻井氏は、信者たち自身も考え方を変える必要があると訴える。


「私が信徒の方々に伝えたいのは、今の教団は本来の信仰のあり方からずれているということ。教祖を神格化し、組織的指示を絶対視するような姿勢は、統一運動の本来の信仰から完全に逸脱しています。信徒自身が信仰のあり方の問題に気付かない限り、宗教法人格がなくなっても、新たな被害が生み出されてしまうのではないか。世論やマスコミが問題だ、ではなく、自分たちの中の根本問題と本気で向き合ってほしいと思います」


(本誌・佐賀旭)

週刊朝日  2022年11月11日号