いつ聴いても古くならない大貫妙子サウンド 本人が明かす“こだわり”とは? (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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いつ聴いても古くならない大貫妙子サウンド 本人が明かす“こだわり”とは?

菊地陽子週刊朝日
大貫妙子 (撮影/品田裕美)

大貫妙子 (撮影/品田裕美)

ユニバーサルミュージック社内で、原宿の竹下通りを眺めながらの撮影 (撮影/品田裕美)

ユニバーサルミュージック社内で、原宿の竹下通りを眺めながらの撮影 (撮影/品田裕美)

 過去にリリースしたCDがLPとして再販され、大貫妙子さんが今改めて注目されている。いつの時代でも古さを感じないサウンドの秘密とは。

【写真】ユニバーサルミュージック社内で撮影した大貫妙子さんはこちら

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 夜明け前。眠っている大貫さんの顔に、小さくて柔らかい物体がペシペシと当たる。飼い猫だ。言葉を持たない猫は、そうやって「起きて」とねだる。時計を見ると、だいたいが5時前で、「まだ早い」と大貫さんは無視を決め込む。

「4時ぐらいからだいたい1時間おきに、2匹の猫が私を起こしにやってきます。3回目には空も明るくなっているので、諦めて起きて庭に出ます。そして両手を広げて太陽の光を浴びる。それがルーティン」

 東京と葉山との二重生活から、葉山の家を仕事と生活、両方の拠点にすると決めたのが15年前。その家で両親を看取り、2012年には、札幌にアパートを借り、しばらく葉山と札幌の二重生活を続けていた時期もある。それらの日々は、大貫さんの著書『私の暮らしかた』(新潮文庫)に詳しいが、本のあとがきでは外飼いだった猫は、いつの間にか家に招き入れられていた。

 お風呂に入るのはいつも朝。夜は就寝前に足湯か腰湯、そのほうが温まる。なので、朝の発声練習は湯船の中。声の調子を確かめるのはそのときだけだそうだ。話しながら、大貫さんは「♪は」「♪は」と、小鳥のように澄んだ声を出して、その様子を再現した。

「60歳をこえ、肩の荷が下りたようにこだわりが消えてしまった。今は『もう、好きなことをしていいのだ』という気持ちによって動かされています」

 それでもさすがに、この新型コロナウイルスによって生じた変化には、「ステージで言えば緞帳がドーンと下りたような状態」だと感じた。

「いろいろな予定が立たなくなって。春に出演するはずだった大きなフェスは中止になったりしました。でも、私のように小さな看板でも、掲げて仕事をする立場の人間にとって、コンサートをすることで、今までサポートしてくれているスタッフやミュージシャンの暮らしの糧になるのであれば、コンサートは、必ずできる形にしたいと思っていました。それは金銭的なことばかりではなく、日々の活力や希望に繋がることなので、自分の責任だと思っているんです」


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