一方、「菅支持」をいち早く表明して、菅政権誕生の流れをつくった二階俊博幹事長にも、「恩返し」人事が行われたとみられる。二階博俊の幹事長続投に加えて、二階派から武田良太・国家公安委員長が総務相に横滑り就任したのに加え、平沢勝栄氏が復興相として初入閣した。政界関係者はこう見る。

「二階派に幹事長、総務相、復興相の3つのポストを与えたんだから、今回の人事には安倍さんだけなく、二階さんに対する感謝もあるでしょう。他の政権だったら入閣できるか微妙だった平沢さんを入れたんだから」

 平沢氏は安倍首相の小学校時代の家庭教師としても知られる。当選8年でも未入閣だった。毎年、平沢氏の政治パーティでは一度も大臣に就任していないことが話題になっており、まさに悲願の入閣だった。

「平沢さんは大臣になりたくて、山崎派から二階派に移籍したんだから。これまで誰もできなかったのに、やっぱり二階さんは力がある、と周りは見ることになるでしょうね」

 菅首相が提唱する携帯料金の値下げや地方創生などの中心課題を担うことになる重要ポストの総務相には、武田良太氏を就任させた。

「武田さんは国家公安委員長で、閣外に行くと思われていた。それを総務大臣に横すべりさせたのは、二階氏の意向もあるのでは。ゆくゆくは、武田さんが二階派を継ぐかもしれない」

(本誌・上田耕司)

※週刊朝日オンライン限定記事

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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