

ジャーナリストの田原総一朗氏は、「桜を見る会」をめぐる一連の疑惑に厳しい見方を示す。
* * *
。
いま問題になっている、首相が主催する「桜を見る会」だが、前回も記したように、政府が公表している開催要領によると、招待範囲は、皇族、元皇族、各国大使、衆参両院の正副議長、最高裁長官、閣僚、国会議員、事務次官及び局長の一部や、その他各界の代表者等として、計約1万人と定めている。
ところが、安倍内閣になって、自民、公明両党の国会議員の地元後援会関係者らが、「代表者等」に該当するとして、大勢招待されるようになった。安倍内閣になってからどんどん増え続けて、今年の参加者は、なんと約1万8200人にもなっているのである。そして、予算は毎年約1767万円となっているのに、今年は5519万円と、3倍以上に増加している。
この支出は全部、国民の税金なのである。税金が、いわば首相によって私物化されているのではないか。
とくに野党が問題にしているのは、安倍事務所が「桜を見る会」の前日に、山口県などの後援者850人を招いて夕食会を催し、その会費が5千円となっていることである。
政府は11月13日に、来年度の「桜を見る会」は中止する、と発表した。ということは、「桜を見る会」に問題ありだと、政府自体が認めたことになる。政府は、中止の発表で幕引きを図りたいのだろうが、もちろん中止すれば済むという問題ではない。
たとえば、ホテルニューオータニの夕食会に招待された後援者の多くは、開催要領には該当していない。
そして、夕食会の会費は5千円だったとされているが、ホテルニューオータニの夕食会の料金は「最低1万1千円」なのである。
野党は、安倍事務所が差額分を支払っていたのではないかと疑い、もしそうであれば、公職選挙法が禁じる寄付行為にあたると捉えている。
安倍首相は15日夜、何と20分以上かけて、ホテルニューオータニでの夕食会について説明した。