田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数 (c)朝日新聞社
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数 (c)朝日新聞社
イラスト/ウノ・カマキリ
イラスト/ウノ・カマキリ

 ジャーナリストの田原総一朗氏は、「桜を見る会」をめぐる一連の疑惑に厳しい見方を示す。

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 いま問題になっている、首相が主催する「桜を見る会」だが、前回も記したように、政府が公表している開催要領によると、招待範囲は、皇族、元皇族、各国大使、衆参両院の正副議長、最高裁長官、閣僚、国会議員、事務次官及び局長の一部や、その他各界の代表者等として、計約1万人と定めている。

 ところが、安倍内閣になって、自民、公明両党の国会議員の地元後援会関係者らが、「代表者等」に該当するとして、大勢招待されるようになった。安倍内閣になってからどんどん増え続けて、今年の参加者は、なんと約1万8200人にもなっているのである。そして、予算は毎年約1767万円となっているのに、今年は5519万円と、3倍以上に増加している。

 この支出は全部、国民の税金なのである。税金が、いわば首相によって私物化されているのではないか。

 とくに野党が問題にしているのは、安倍事務所が「桜を見る会」の前日に、山口県などの後援者850人を招いて夕食会を催し、その会費が5千円となっていることである。

 政府は11月13日に、来年度の「桜を見る会」は中止する、と発表した。ということは、「桜を見る会」に問題ありだと、政府自体が認めたことになる。政府は、中止の発表で幕引きを図りたいのだろうが、もちろん中止すれば済むという問題ではない。

 たとえば、ホテルニューオータニの夕食会に招待された後援者の多くは、開催要領には該当していない。

 そして、夕食会の会費は5千円だったとされているが、ホテルニューオータニの夕食会の料金は「最低1万1千円」なのである。

 野党は、安倍事務所が差額分を支払っていたのではないかと疑い、もしそうであれば、公職選挙法が禁じる寄付行為にあたると捉えている。

 安倍首相は15日夜、何と20分以上かけて、ホテルニューオータニでの夕食会について説明した。

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田原総一朗

田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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