ママ友は「いません」 芥川賞作家・今村夏子の素顔とは? (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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ママ友は「いません」 芥川賞作家・今村夏子の素顔とは?

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木元健二週刊朝日
芥川賞に決まり、記者会見に臨む今村夏子さん=東京・帝国ホテル(撮影/写真部・東川哲也)

芥川賞に決まり、記者会見に臨む今村夏子さん=東京・帝国ホテル(撮影/写真部・東川哲也)

「とても手の届かないものだと思っていた」。はにかみ屋の作家が歓喜の心境を明かした。第161回芥川賞に輝いた『むらさきのスカートの女』(小説トリッパー春号/朝日新聞出版)。淡々とした日々に不穏な空気を漂わせ、クスッと笑わせる。そんな作品の魅力と、今村夏子さんの横顔を追った。

「常軌を逸した人間、その本人を語り手にして描いているんですけれど、それは非常に難しいこと」

 7月17日に開かれた選考会の選評で、小川洋子さんは語った。

「そこに、むらさきのスカートの女という、いるのかいないのか、実在するのか妄想の中だけにいるのかという、ちょっと不思議な存在をもってきて、それを鏡にして、そこに映るわたしを描いていくということで、語り手の本性に迫っていくという構造が、非常に成功している」

『むらさきのスカートの女』だけが最初の投票で半数を超え、2回目の投票でさらに点数を伸ばした。文句なしの決定だったという。

 あらすじはこうだ。

「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性がいる。ジャンケンで負けたら女性にタッチするなど、子どもの罰ゲームの対象になっている。語り手の<わたし>は、公園の一番奥のベンチが定位置という、この女性がどうにも気になる。何とか親しくなるため、自らと同じホテルの清掃の仕事に女性がつくよう、ことを運ぶ。女性の様子は変わってゆき、やがて物語は急展開する。

 不思議な余韻を残す『むらさきのスカートの女』。自分らしいものが書けた、と今村さんは振り返る。

「変なもの、怪しいものを書こうと意識しているわけじゃないのですが、自然とそうなってしまうんです」

 そんなユニークな作風で知られる。

 2010年、初めて書き通した作品「あたらしい娘」(のちに「こちらあみ子」に改題)で太宰治賞。このデビュー短編を収めた『こちらあみ子』で三島由紀夫賞。『あひる』で河合隼雄物語賞、『星の子』で野間文芸新人賞。

 順調な足取りに見えるが、実は書く題材を探すのにいつも苦労している。


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