津田大介「『忘れられる権利』の議論を始めよ」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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津田大介「『忘れられる権利』の議論を始めよ」

連載「ウェブの見方 紙の味方」

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「ネット上で自分の不利益につながる軽微な情報を検索結果から除外してもらえる権利」は導入すべきか (※写真はイメージ)

「ネット上で自分の不利益につながる軽微な情報を検索結果から除外してもらえる権利」は導入すべきか (※写真はイメージ)

 ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られるジャーナリストでメディア・アクティビストの津田大介氏は、「忘れられる権利」について持論を展開する。

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 インターネットの検索サービス「グーグル」の検索結果に表示される自身の逮捕歴の削除の可否を巡って争われた仮処分申し立ての抗告審で、最高裁第三小法廷は1月31日、削除を認めない決定を下した。

 申し立てを行った原告は2011年11月に児童買春・児童ポルノ禁止法違反で逮捕された男性。グーグルで自分の名前を検索した時に逮捕時の報道内容が検索結果に表示されることを不当だとし、グーグルに削除を求めていたが、最高裁は「児童買春は罰則で禁止され、社会的に強い非難の対象。今も公共の利害に関する事実なのでこれは削除できるケースには当たらない」として訴えを退けた。

 近年、検索結果の削除の可否を巡る訴えが各地で相次いでいるが、裁判所の判断が割れる状況が続いている。本件も一審のさいたま地裁は男性の主張を認め、検索結果を削除する仮処分を出したが、高裁ではさいたま地裁の判断を覆し、男性の申し立てを退けた。裁判所によって判断が割れ、最高裁が下す決定に注目が集まっていた。

 このニュースを巡っては、報道の見出しが各社で大きく割れた。読売新聞と毎日新聞は「逮捕歴の削除が認められなかった」ことを見出しにしたのに対し、朝日新聞、日経新聞、産経新聞、東京新聞は「検索結果の削除に関する指針が示されたこと」を見出しにした。

 この判断を下す際、最高裁の岡部喜代子裁判長はグーグルの検索結果表示は「表現行為」であり、情報流通の基盤として大きな社会的役割を担っていると評価。これを制約する削除が認められるには「事実が公表されない利益」が、「検索結果を提供する価値」を明らかに上回らなければならないと指摘した。同時にそれを考慮する際の指針が示されたことで、本件は大きく報じられたのだ。


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