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ペット業界の“すし詰め商法”に環境省が規制へ 飼育ケージをめぐる攻防

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週刊朝日

九州の繁殖業者のもとでも、繁殖用の犬はケージの中で飼育されていた。しかもここでは、一つのケージに2匹ずつ入れられていた (c)朝日新聞社

九州の繁殖業者のもとでも、繁殖用の犬はケージの中で飼育されていた。しかもここでは、一つのケージに2匹ずつ入れられていた (c)朝日新聞社

 繁殖や販売に使われる犬や猫を飼育するケージにはどの程度の大きさが必要か。繁殖業者やペットショップが持つ飼育・展示施設について、環境省が具体的な数値規制の検討に乗り出した。悪質業者の排除が主な目的だが、業界側は警戒感を強めている。

 中部地方のある繁殖業者の施設を覗くと、雌の小型犬がほとんど身動きが取れない大きさのケージに押し込められていた。ざっと幅30センチ、奥行き50センチ、高さ40センチといったところ。足元は金網になっていて、糞が山積みだ。金網の下のトレーには尿がたまっている。同じサイズのケージが輸送用コンテナの中に3段重ねでずらりと並び、約200匹もの雌犬が飼われていた。

 こうした飼い方は、日本のペット業界では珍しくない。ケージを大きくすればコストがかかり、そのぶんのスペースも必要だ。ビジネスの観点からすれば、当然の措置かもしれない。

 だが、環境省がようやく重い腰を上げ、“すし詰め商法”にダメ出しをしようとしている。身動きがままならないほど小さなケージで飼育したり、狭い施設のなかに多数を詰め込んだりするのは虐待的だと問題視。業者が飼育や展示をする際の施設の大きさを具体的な数値で示し、規制する方針を固めた。すでに有識者らへの聞き取り調査を始め、今年度中にも獣医学の専門家らによる検討会を立ち上げたいという。

 米、英、独などでは、犬や猫を飼育するケージの必要な広さを具体的な数値で規定する。独では、犬の保護に関する規則で、「一辺は少なくとも犬の体長の2倍の長さに相当し、どの一辺も2メートルより短くてはいけない」などとしている。犬を主に屋内で飼育する場合は、窓が最低でも室内面積の8分の1なければいけない、などの規定もある。

 日本には数値規制がないが、業界団体による独自調査の資料を見ると、2016年時点で国内の繁殖業者の7割以上がケージで飼育している。ケージに入れずに「平飼い」している業者は3割にとどまる。資料では、これらのケージのおよそ9割について、ドイツ基準を下回る「英国基準」をクリアするのにも、「大型のものに更新が必要」と指摘している。


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