ケント・ジョーンズ監督「『ヒッチコック/トリュフォー』は映画マニアだけのためのものではありません」 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

ケント・ジョーンズ監督「『ヒッチコック/トリュフォー』は映画マニアだけのためのものではありません」

このエントリーをはてなブックマークに追加
週刊朝日
ヒッチコックの創作の秘密をひもとくドキュメンタリー映画「ヒッチコック/トリュフォー」が公開された。(※イメージ)

ヒッチコックの創作の秘密をひもとくドキュメンタリー映画「ヒッチコック/トリュフォー」が公開された。(※イメージ)

 ヒッチコックの創作の秘密をひもとくドキュメンタリー映画「ヒッチコック/トリュフォー」が公開された。ケント・ジョーンズ監督に、その舞台裏を聞いた。


──本作は1962年にトリュフォーがヒッチコックにインタビューして作った本『映画術』をベースにしていますね。

 そうです。二人の50時間に及ぶ録音テープと写真、そしてヒッチコックを語る10人の監督へのインタビューで成り立っています。ただマニア向けの作品にしたつもりはありません。

 ヒッチコックには冷淡で緻密な印象がありますが、テープを聴くと30歳下のトリュフォーに実に優しい声色で接していることに驚きます。晩年、創作に悩んでいたヒッチコックはトリュフォーにその迷いを正直に吐露したりもしています。彼らの関係は師弟のようでも父子のようでもある。さまざまな人の心に訴えかけるものがあると思います。

──ヒッチコックについて語る10人の監督たちはどのように選んだのですか?

 いわゆる“ヒッチコック印”が刻印された作品を作っているような監督は選びたくなかった。彼の影響が作風のなかにひそかにこだましているような、そういう監督を選びました。黒沢清もその一人で、10年くらい前に会ってから、すごく好きな監督です。マーティン・スコセッシ、アルノー・デプレシャン、ジェームズ・グレイ、オリヴィエ・アサイヤスたちとは普段から交流もあります。ウェス・アンダーソンは「『グランド・ブダペスト・ホテル』ではヒッチコックの『引き裂かれたカーテン』(66年)のワンシーンを丸々パクったんだ」と、こっそり告白してくれましたよ(笑)。

──監督によって好きなヒッチコック作品が違うことも興味深かったです。

 オリヴィエ・アサイヤスは「ロープ」(48年)がお気に入りで「ミステリアスで美しい、ヒッチコックが巨匠である証しのような作品」と言いますが、デビッド・フィンチャーは「こんな映画がヒッチコック作品だなんて信じられない! リマスターされる価値なんてあったのか?」と言っていましたね(笑)。

──ケント・ジョーンズ監督のヒッチコック作品ベスト3は?

 う~ん、難しいですね!すべての作品が素晴らしい。あえて選ぶなら「汚名」、「私は告白する」(53年)、「北北西に進路を取れ」(59年)です。ヒッチコックビギナーにはやはり「北北西に進路を取れ」、「裏窓」(54年)、「サイコ」がおすすめですね。

週刊朝日  2016年12月23日号


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

続きを読む

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい