初動で必要な捜査をしていれば…(※イメージ)
初動で必要な捜査をしていれば…(※イメージ)

 4年前、名古屋市内で死亡事故を起こした運転手の男性(39)が、3月28日、道路交通法違反(ひき逃げ)の罪で在宅起訴された。これまで3度不起訴とされた事件だが、にわかに動きだした異例の展開だ。

「ごみをひいたと思った、だからひき逃げではない……。そんな言い訳は通らないということを、これから始まる刑事裁判ではっきりさせてほしい」

 そう語るのは、名古屋市に住む鈴木徳仁さん(46)だ。鈴木さんの父親、登喜夫さん(当時69)は2012年7月、歩道の縁石につまずき車道側に転倒し、通りがかりの乗用車にはねられて死亡した。

 帰宅後、妻に「なにかをひいた」と話した加害者の男は、約1時間半後、現場へ戻った。同年12月、自動車運転過失致死罪で30万円の罰金刑に。しかし被害者を救護せず、現場から立ち去ったことについて「人だとは思わなかった」と供述したため「ひき逃げ」の罪に問われなかった。

 この事件は3年前の本誌記事「交通事故厳罰化でも残る交通捜査への不安」(13年12月6日号)で取り上げたが、事故直後、警察や検察が遺族に投げかけた言葉の数々はにわかに信じがたいものだった。鈴木さんは振り返る。

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