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 兵庫・淡路島の静かな集落でH容疑者(40)が突然、刃物で近隣の住民5人を次々と惨殺したあの悪夢から約5カ月。その犠牲となった平野毅さん(享年82)と恒子さん(同79)夫妻の娘、Aさんが今までの沈黙を破り、「兵庫県警に見殺しにされた」と本誌に訴えた。ジャーナリストの今西憲之と本誌取材班がレポートする。

 3月2日、洲本署に何度も言われたので、洲本市役所に出向く。人権推進課から、弁護士の無料相談を紹介され、洲本署生活安全課にも連絡を取ってくれた。翌3日、親族たちは相次いで生活安全課の担当者を訪ねた。メモによれば、

≪ネットの写真の削除方法の説明を受けた≫≪Hの生活状況を3月5日、6日にHの父親に連絡して洲本署で聞き取りして報告≫≪事件化について相談した≫

 Aさんはこう振り返る。

「これまで警察に何度も相談をしたが、ゼロ回答だった。市役所から洲本署の担当者につないでもらって、具体的に動いてくれる。正直、これで助かったと思いました」

 だが、約束の3月5日、そして6日になっても洲本署生活安全課からの回答はなかった。そして9日朝に悪夢が現実となる。

「事件当日、私たちが自宅に駆けつけても警察は状況を説明しなかった。仕方なくインターネットで速報を見ると、毅、恒子とも死亡したというニュースがすでに流れていた。警察は何をしているのかと怒りでいっぱいでした」

 そして、日付が10日に変わった深夜。洲本署の副署長ら3人が姿を見せた。

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