栃木県佐野市の山林の県道脇で、8月4日、段ボール箱に入った16歳少女の遺体が発見されたミステリアスな事件で、“空白の時間”が明らかになりつつある。死後3日ほど経っていた遺体の少女は、2012年9月から行方不明になっていた白津佳奈さん(16)。

 栃木県警は、住所不定の無職、岩崎春敏容疑者(45)と住所不定・無職の栗林亨容疑者(30)を死体遺棄容疑で逮捕したが、事件を主導したのは栗林容疑者とみられている。

「栗林はインターネットの闇サイトで知り合った岩崎に遺棄を依頼したようだ」(栃木県警関係者)

 一方、白津さんは埼玉県北本市出身。小学校時代は地元のアパートで母親と姉と3人で暮らし、普通に学校へ通っていた。

 中学に入ってもソフトテニス部に入るなど、元気な少女だったが、中学2年の夏(11年)から、上尾市の児童自立支援施設に入ることとなった。

 この施設には、家庭環境に問題があったり、不良行為をしたりした子どもなどが預けられる。子どもを育てるお金がないからと預ける親もいるという。白津さんと同じ施設に入っていた16歳の男子の証言。

「3年前の中学2年生の夏と冬、佳奈に施設で会いました。佳奈は全然、不良少女ではなかった。普通の真面目な子にしか見えなかった。僕のほうが先に施設に入っていて、後から佳奈が入ってきた。彼女は、小さい子と一緒にテレビを見たり、よく遊んであげていた。みんなから『佳奈ちゃん』と呼ばれてました。施設の中には体育館、グラウンドがあって、彼女とはドッジボールなどスポーツをよくやりましたが、バドミントンがうまかった」

 
 施設での白津さんの暮らしは、午前6時半に起床、朝食、昼食、夕食は定時。平日はテレビは午後7時頃から1~2時間のみと自由が制限されていた。

「僕と話をしていたとき、佳奈は『早くここを出たい』と言っていた。僕がいたときは、親があまり面会に来ないようなことも言ってました。施設にいたときは黒髪でした。髪を染めちゃいけなかったんです。彼女は『外に出たら、髪を染めて、ピアスの穴を開けたい』と、言っていました」

 そして白津さんは12年9月、施設から脱走し、行方不明となった。

 発見された白津さんの遺体は、栃木県警によると、髪が肩ぐらいまであり、茶髪で、前髪の一部は赤く染められていた。左手薬指には指輪をし、ブレスレット、ピアスもしていた。

 施設を脱走後、白津さんは埼玉県内の飲食店でアルバイトし、栗林容疑者と知り合い、栗林容疑者のアパートに出入りしていたという。

「未成年でも働く気になれば勤められるようなスナックなどはある」(さいたま市大宮区のキャバクラ店長)

 大宮の繁華街では栗林容疑者と一緒に飲み歩く少女の姿が目撃されていた。栃木県警は殺人も視野に追及している。

(本誌・上田耕司)

週刊朝日  2014年8月29日号