投信の「回転売買」営業にご注意、銀行、証券の思惑とは 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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投信の「回転売買」営業にご注意、銀行、証券の思惑とは

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NISAをきっかけに投信の銘柄数は増加傾向 (c)朝日新聞社 

NISAをきっかけに投信の銘柄数は増加傾向 (c)朝日新聞社 

 福岡県に住むAさん(61)は、資産運用で悩んでいる。昨年、長年勤めた会社を定年退職し、退職金をもらった。老後の生活費に備え、投資信託の購入を考えているものの、どれを買っていいのか、まったくわからないのだ。

「年金だけでは心もとない。だけど、個別の銘柄を研究しなくてはいけない株は難しそう。それならと、プロに運用を任せる投信に決めたんです。80歳まで生きるとして、20年は運用したい。しかし、こんなにたくさんあるとは思ってもみませんでした」(Aさん)

 Aさんが途方に暮れるのも無理はない。野村総合研究所によると、投信の銘柄数は、2014年2月末で16年ぶりに5千を超えた。東京株式市場に上場する会社が約3500社ということを考えると、その選択肢の多さは圧倒的だ。

「団塊世代の退職金を狙った投信は、劇的に増えましたよ。今年から少額投資非課税制度(NISA)が始まったことも拍車をかけています」(証券会社の中堅社員)

 問題は、多さだけではない。驚くことに、約5千もありながら、Aさんが希望するように、10年、20年と長期の運用に向いた投信は、意外と少ない。

 驚愕の数字を紹介しよう。個人投資家による投信の平均の保有年数だ。なんと、たった1.7年にすぎない。そもそも投信は長期で資産形成を目指すもの。これは世界の常識だ。いったい、何が起きているのか。

 晋陽FPオフィスのカン・チュンド代表が解説する。

「投信を『販売手数料を稼ぐための商品』とみている証券会社や銀行が多いのです。このため、個人投資家に長期で保有してもらうより、新しい商品を次々に発売して、乗り換えてもらったほうが販売手数料が稼げるのです」

 業界では、これを「回転販売」と呼ぶそうだ。昔に比べて少なくなったというが、今でもそうした営業手法を用いる金融機関は多いという。販売手数料とは、証券会社や銀行の窓口の人に支払う相談料や事務手数料のようなもの。一般的に3%程度とられるという。販売手数料が無料の投信も増えたものの、その数はまだ少ない。

 販売手数料に関しては、批判も多い。

「3%ならば100万円を投資する人は3万円、1千万円を投資する人は30万円。商品説明などの手間は同じなのに、投資金額が違うだけで、どうしてこんなに手数料が大きく違ってくるのか。納得できる説明はほとんどない。販売手数料は定額もしくは無料にすべきでしょう。3%とられるということは、投資する金額がそれだけ減るということになるのです」(手数料無料の投信を販売するセゾン投信の中野晴啓社長)

週刊朝日 2014年4月25日号より抜粋


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