原辰徳監督の"1億円不倫騒動"で週刊誌にリークした情報源として名指しされた元巨人GMの清武英利氏。強く関与を否定し、読売の内情を暴露する。たとえば、渡邉恒雄・読売新聞グループ本社会長兼主筆の「徹底的に(清武を)やれ」という言葉を汲み取って動く社員がおり、清武氏は彼らを「忖度(そんたく)族」と呼んでいるという。インタビューの聞き手はジャーナリストの鳥越俊太郎氏だ。
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鳥越:渡邉さんは、読売新聞の社会面だけじゃなくて、政治、経済、あらゆる論調にわたってチェックするんですか?
清武:していると思います。主筆が社論をつかさどるという社則ですし、非常に細かい人ですから。「俺は夜、酔っ払って帰っても、ベッドの脇に山のように書類があって、それを全部見てるんだ」って言ってました。社論に反すること、自分に反することは許しませんよ。今、読売社内では、多様性は認められず、渡邉社論のみです。やっぱり表現の自由って言論機関としてはいちばん大事なことじゃないですか。権力の監視というのも、とっても大事なこと。ところが権力の監視どころか、読売自体が権力になってしまっている。
鳥越:社説もそうですか? 実際書いているのは論説委員だと思いますが、いちおうこういう趣旨だと渡邉さんが指示を出して。
清武:はい。主筆っていうのは名ばかりじゃありませんので、それは最後まで手離さないと思いますよ。でも、このままでいいのかなって気持ちは強くします。僕の話があって、わかりやすい形で、読売の本質が見えてきたと思います。
鳥越:いま話を聞いていると、読売っていわば原発みたいな構造ですね。渡邉さんが、圧力容器の中の核分裂をやっているエネルギー源で、周りの「付度族(そんたくぞく)」が電力をどんどん作っている。これは、ひとたび壊れると怖い。暴走が止まらないから。
※週刊朝日 2012年7月6日号