池田清彦教授 「公海上の漁業は捕ったもん勝ち」

池田清彦

2012/04/23 07:00


 不漁によるウナギの価格高騰のニュースを聞き、早稲田大学国際教養学部教授の池田清彦教授は、安定的なウナギの供給は完全養殖技術を確立させる他はないと言う。 

*  *  *
 ウナギの価格が高騰しているという。シラス(稚魚)の不漁が続いているためらしい。キロ当たりのシラスの取引価格は去年の二倍以上の二〇〇万円にもなっているという。不漁の原因は乱獲とも海流変化とも言われているが、はっきりしたことは分からないようだ。
 ウナギに限らず、天然の海洋資源の減少、枯渇は大問題で、このままではウナギもマグロも近い将来絶滅する恐れなしとしない。公海上の漁業は捕ったもん勝ちで、まさに「コモンズの悲劇」の典型である。持続可能な利用のためには資源量調査をして、適正な捕獲量を定める必要があるが、様々な人々の利害が対立して、適正利用のためのルールを作るのは大変難しい。
 安定的な利用のためには完全養殖技術を確立させる他はないのかもしれない。ウナギもマグロもこれがなかなか大変なようだ。
 一番の課題は卵から適当な大きさの稚魚に育つまでの歩留まりの悪さをどう改善するかだ。ウナギの場合は、産卵場所は西マリアナ海嶺と判明したものの、生息環境の詳細がまだ良く分からず、孵化した仔魚をシラスにまで生育させるのはなかなか難しいらしい。天然の仔魚が何を食べているかもまだ判然としていないようで、いろいろ試行錯誤を重ねているが、人工孵化した稚魚の成長は天然のものにはるかに及ばないのが現状とのことだ。
 完全養殖技術確立にはまだ時間がかかりそうで、ウナギは当分安くなりそうもないね。
※週刊朝日 2012年4月27日号

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