書評『知って感じるフィギュアスケート観戦術』荒川静香著 |AERA dot. (アエラドット)

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《新書の小径 (週刊朝日)》

知って感じるフィギュアスケート観戦術 荒川静香著

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荒川静香の公平さ

 自分の周囲でフィギュアスケートがあまりにも熱いので乗ってみようかと買ってみた。
 とはいえフィギュアという競技はどうも難しくてなあ。男子も女子もあの衣装がなあ……ドン小西が言う通りのオバサン趣味。金をかける方向性を間違えているとしか思えない。そして、競技の勝敗がどこで決まるのかよくわからない。そりゃ転んで尻餅ついたら失敗なのはわかるが、キレイだなーと思ったら点数イマイチとか、イケてないなと思うと高得点とか。
 今、ネットのフィギュア界隈が異様に熱いのは、そのわからなさがファンの疑心暗鬼を生んで、浅田真央ちゃんが優勝できないのはキム・ヨナの陰謀、みたいなことになっていることだ(たぶんキム・ヨナ・ファン側からは別の陰謀が見えてるのであろう)。こういう考えの行きつく先は「自分の応援する選手が優勝できないのはすべて陰謀のせい」となってある意味無敵なのである。まあ私も、大好きな安藤美姫は、ああいう奔放そうな外見で必要以上に嫌われてる! と怒ったりして、もっと冷静になろうと考えたこともある。
 トリノ五輪金メダリスト荒川静香によるフィギュア解説。スピンや回転の種類とかが詳しく解説してある。ただ、6種類のジャンプを絵で説明してるんだが、これが見てもその違いがわからない。ページの端っこにパラパラマンガにでもしてくれればわかりやすかったんではないか。
 でも、それ以外の、荒川さんによる技術解説やスケート選手生活の説明は面白い。浅田真央とキム・ヨナの、それぞれの長所がどう違うかということを公平に書いてある(と思ったら、これにも「荒川さんは●●のほうに肩入れしてる! ●●国の陰謀に取り込まれたのよ!」と怒る人がいたので驚いたが)。あとはスケート靴の「合うものを見つける難しさ」がこんなにすごいとは思わなかった。しかし、あのフィギュア衣装の独特の美意識については触れられておらず、多少残念な気持ちである。

週刊朝日 2014年2月7日号


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