毎年のように繰り返される自然災害。対策が必要だと分かっていても、防災グッズを用意するところで止まっていませんか? 危機管理アドバイザーの国崎信江さんによると「物の用意も大切ですが、それよりも自分で判断したり、ピンチを乗り越えたりする強い心が大切」と言います。災害は子どもが1人の時にも起こりえます。判断力や強い心を身につけるトレーニング方法を聞きました。現在発売中の「AERA with Kids 2022年秋号」(朝日新聞出版)から紹介します。

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「深刻化する地球温暖化の影響で、日本では大雨や台風が発生しやすくなっています。また、首都直下地震や南海トラフ地震の危機も迫っていると言われます。これからを生きる子どもたちは、災害から身を守る術を知ることが不可欠。親には、子どもの“生きる力”を育む意識が必要です」

 こう語るのは、危機管理アドバイザーの国崎信江さんです。生きる力を育むには、(1)自分で判断して行動する、(2)心を鍛える、が大切だと言います。どちらも非日常の体験がトレーニングになるとか。

「例えば、キャンプでゴツゴツした地面にテントを張って寝た体験のある子どもは、いざ避難所で寝る時も耐えられることが多いですね。率先して避難所の仕事を手伝おうとする子どももいます。でも、ふかふかの布団でしか寝たことがないと、避難所生活がつらくて気持ちが閉じたり、寝不足で元気が出なかったりしやすいのです。それまでの体験が『自分は大丈夫』という心につながるのでしょう」

 子どもの“生きる力”は、家にいるまま、遊び感覚でトレーニングできます。国崎さんが強くおすすめするのが「おうちDEキャンプ」です。

「部屋の中にテントを張って、ガスや水道の元栓を閉め、電化製品のコンセントを抜きます。数時間するとトイレに行きたくなるので、簡易トイレを使って、後始末まで体験してみる。すると、手が洗えないからポリ手袋が必要だとか、汚物をどこに置いておくかなど課題が見えてきます。その時、すぐに大人が手を貸さずに、子どもに自分で考えさせることが大事です」 

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越膳綾子
ライター 越膳綾子

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