日ごろ、子どもはなにか「お手伝い」をしていますか? 少しずつでも家のお手伝いを継続することで、子どもは想像以上の力を身に付けます。「お手伝い」を習慣にする「手順」と「コツ」を明星大学教育学部教授の齋藤政子先生に聞きました。「AERA with Kids2022年夏号」から一部抜粋して紹介します。

MENU ■お手伝いをしたくなる雰囲気、働きかけがポイント ■お手伝いを日常に定着させる「順序」

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 子どもが家でお手伝いをしているかいないかは、家庭によって大きく違いが出るもの。「お手伝いは、『大人の仕事』を手伝うというイメージがありますよね。でも、共同生活者の家族が助け合って暮らすために家事労働を分担して、その中で『子どもが担えること』を行う。それが本来のお手伝いなのです」と話すのは、保育や子育ての研究を行う、明星大学教育学部の齋藤政子教授です。

「子どもも、共同生活者である家族の一員です。自分ができる仕事を任せてもらうことで、家族の一員としての自覚や、達成感、充実感を得られます」

 洗濯や洗いもので水を使ったり、重い布団を持ったり、ときには火を扱ったり。

「日々のお手伝いには、さまざまな“体験”があります。しかも、毎日同じ条件とは限りません。そこに対応して、工夫をしながら仕事をこなす。お手伝いは、いちばん身近な生きた体験教育の場。自分のことが自分でできないと、成長してから途方に暮れてしまいます。中学生くらいの思春期真っただ中で、親子関係が一時的に難しくなるころのスタートは難しいもの。小学生までの子どもなら、今がはじめどきです!」

■お手伝いをしたくなる雰囲気、働きかけがポイント

 子どもにお手伝いを頼んでみたけれど、結局続かなかった。こんな経験はありませんか?

「家事労働であるお手伝いを子どもの日常にするには、やはり『無理せず・押しつけず』が基本です」(齋藤先生)

 そしてなにより、子どもが「やってみたい」と思える雰囲気づくりや働きかけが大切です。

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AERA dot.編集部
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