「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。連載15回目の今回は、地方在住で中学受験を考えている、小2のお母さんからの相談です。

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矢萩:ご質問の中の「我が家の3兄妹は皆性格も違うので、それぞれに合った学校を探してあげたい」というのが、ポイントなのかな、と思いますね。質問者さんの「学校を選びたい」という気持ちを強く感じますね。

安浪:確かに。「ここに住んでいるからこの学校に行こう」というのではなく、自分の子どもに合ったベストな選択をしたい、ということですよね。

矢萩:そこは僕も共感します。近所の学校も選択肢にあげながらも、別の選択肢も用意する、というのは僕も親としてそうすると思います。子どもに選択の自由を与えてあげたいですし、自ら選択する経験をしてほしい。選択肢を挙げた上で、「この学校はこういう特徴があって、入学するためにはこういう準備が必要だよ」とか「入学試験ではこんな問題が出て、だいたいこれくらいできると入学できるよ」などわかる範囲で情報を並べてあげて、どっちにする?と聞いてみますね。もちろん、情報だけでなく、年齢や成長によって意見は変わると思いますが、その都度何に反応して、どう判断しているのかを確認することは、今後選択肢を提案するうえでも大事だと思います。

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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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