関西地方、東海地方ともに、昨年よりも中学受験率が上昇しています。その要因は首都圏同様、コロナ禍での公立と私立の対応の差でした。関西では安全志向が働き、難関校の志願者が減少しました。東海では、愛知県で受験者数が増加しています。

MENU ■灘に並ぶ大学合格実績で注目 ■増える1教科型入試 ■東海3県の受験率は堅実に上昇 ■岐阜の人気校は県内と名古屋市からの受験生がともに増加

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 関西2府4県(大阪・兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山)の中学受験率は前年より伸びたものの、小学6年の児童数が減ったために受験者数は減少した。日能研関西(神戸市)取締役の森永直樹さんは、次のように話す。

「児童数の減少から、もっと減るのではないかと予想されましたが、それほど落ち込みませんでした。コロナ禍の対応を見て私学の良さを認識した保護者が多かったからだと思います」

 今年の関西の特徴は、安全志向だ。森永さんは「例年だとライバル校と増減を繰り返すのに、これだけ難関校がそろって減るのは初めてではないか」と言う。

 灘(神戸市)が687人から652人、甲陽学院(兵庫県西宮市)が410人から344人、大阪星光学院(大阪市)が749人から727人、神戸女学院(兵庫県西宮市)が272人から229人、四天王寺(大阪市)が767人から696人にいずれも減少した。洛星(京都市)は693人から732人と増えているが、森永さんは「トップ層が安全圏を狙ったことが増加の一因となっている」と見ている。

 西大和学園(奈良県河合町)は1506人から1503人(本校のみ)と前年並み。同校は本校のほかに北海道から九州まで全国6会場で入試を行っており、例年合計で2000人以上の志願者を集めている。

■灘に並ぶ大学合格実績で注目

「西大和学園は男子寮があるのが強み。本校入試を1月16日の午後に設定しているので、16日の午前に2回目の試験を行う灘や甲陽学院、17日が入試の東大寺学園(奈良市)などのトップ校とも併願できる。関西では今や灘と並ぶ大学合格実績になっています」(森永さん)

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柿崎明子
ライター 柿崎明子

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