「(東京五輪が)より平和な未来への希望の光になる」と呼びかけたが、歓迎ムードには程遠い。同公園内の一部に市民らの立ち入りが約3時間制限され、公園周辺ではバッハ会長の広島訪問や東京五輪に反対する数十人が「Get Out(出ていけ)バッハ!」、「バッハは広島を利用するな!」、「命より金の五輪は中止しろ!」などシュプレヒコールを行い、一時騒然となった。

 開会式では猛暑の中で13分もスピーチし、途中で寝っ転がる各国の選手が続出する事態に。大会期間中はアスリートへのコロナ感染に関係者が神経を使う中、メダルを獲得した日本人選手と近距離で会話している姿が映像で撮られて問題視された。

 騒動はまだ終わらない。東京五輪閉会式から一夜明けた8月9日に、SPや大会関係者らを引き連れて、東京・銀座を散策。批判の声が殺到したが、丸川珠代五輪相は10日の閣議後の会見で、「まず、しっかりと防疫措置の中で過ごしていただいていることが重要なポイントです」と強調した上で、「不要不急であるかは、しっかりとご本人が判断すべきものだと思う」と問題がないという見解を示し、さらに炎上する事態になった。

 バッハ会長の再来日に反発の声は多い。SNS、ネット上では、「丸川、橋本、山下、菅 いつになったら貴方達はコメントをだす。今の日本国の状況を見てどう思っている!今回ばかりはさすがに『個人の判断で』は通用しないです。もし黙認をするなら国民は移動も黙認で良いって事で理解しますよ」などの批判のコメントが相次ぐ。

 ハリウッド女優・ニコール・キッドマンが新作ドラマの撮影のため入国した香港で新型コロナウイルス対策の隔離を免除される特別扱いを受け、市民から怒りの声が政府に殺到していると報じられた。

 怒りの矛先はバッハ会長の行動を容認している政府、IOCにも向けられている。その事実に気づいているだろうか。(牧忠則)