kanaharuさんが臨機応変に対応できたのは10校以上の学校説明会に足を運び、通わせてもいいと思う学校を複数用意していたためだ。想定外の事態のためにも“手持ちのカード”は複数用意しておきたい。矢野さんも「後半戦の激しい倍率を考えると、2日までに安全校を入れるのがベスト」と語る。

“押さえ”の学校として後藤さんが推すのが、偏差値的には入りやすい学校に設けてある特進クラスだ。

「本命ではないとしてもレベルの高い子たちが集まるため、6年間でしっかりと力をつけ、大学受験でいい結果につながることが多いようです」

■偏差値はどう考える?

 偏差値は模擬試験ごとにアップダウンするもの。最終的に学校選びで参考にするのは、小学6年の夏以降の4科平均偏差値だ。

「自分の4科平均偏差値より4~5ポイント上の学校なら十分めざせます。挑戦校は持ち偏差値プラス4以上、実力相応校はプラスマイナス3以内、安全校はマイナス4以下を目安に志望校を選定し、この三つをバランスよく配して『全落ち』を回避しましょう」(中学受験指導「スタジオキャンパス」代表・矢野耕平さん)

 ただし、偏差値に振り回されすぎることもない、という見方もある。

「その学校を受験する子の中での順位がよければ受かるわけです。過去問に向き合い、合格最低点に届くかどうかが肝心」(齊藤さん)

「例えば合格判定50%は、受け取り方によって高いとも低いともいえる数字ですし、その判定が出た時期によっても捉え方は変わるものです。偏差値はあくまでその模試の結果にすぎません」(早稲田アカデミー教務本部中学受験部次長・東広樹さん)

 過去問の扱いについては、後藤さん・三谷さんは次のように助言する。

「不思議と点数がとれる、いわゆる相性のいい学校も実際にあります。一般的に小学6年の9月から過去問演習に取り組みますが、早いうちに目を通しておくことで、例えば途中式が採点される学校なら丁寧に書く癖をつけるなど、日々の学習に役立てることができます。志望校の過去問を見えるところに置いておくのも、意識付けにおすすめです」

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