はじめまして。この度、AERA with Kids + #読書部のエディターとして活動させていただくことになりました、ayumiと申します。わたし自身絵本や本が大好きで、わが子達と読み聞かせや読書を楽しみながら、読書教育の必要性を日々感じているところです。子どもが楽しんだ本やわたし自身の学びや気付きにつながった本などを、心の赴くままに紹介していけたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。さて、初めの一冊は何にしようかなと本棚とにらめっこしていたところ、目が合ったのはこちらのシリーズでした。
親子で楽しめる本格ミステリ
『放課後ミステリクラブ』
春から5年生になる長男が、去年読んだ本の中で1番面白かった!と言っていたこちら。
数々の本屋大賞ノミネート作品で知られる知念実希人(ちねんみきと)さんが子どものために「人生で初めて読むミステリ」として書いた、大人も子どもも楽しめる推理小説シリーズです。
夜の学校に放たれた色とりどりの金魚達。
誰が、何のために放ったのか?
4年1組のミステリトリオが、大人顔負けの推理でこの謎に挑みます。
ポップな挿絵や人物紹介、舞台となる学校の見取り図など、初めてミステリを読む子どもにも優しく書かれていますが、その手法は大人の読むミステリと同じもの。決して子どもだましではない、本格ミステリです。
日常に潜む謎を紐解いていく物語は、刺激が強すぎることなく子どもに安心して手渡せます。
とは言え、著者はあの知念実希人さん。トリックや構成は大人でも楽しめるもので、「そうそう!こんなミステリを待っていた!」と心の中で拍手喝采でした。
低学年のころハマったミステリ
1人読みを始めた低学年のころはさまざまなジャンルを楽しんでいましたが、だんだんと自分の好みがはっきりするようになり、今ではホラーや歴史物、ミステリ系の本が主となっている息子。
『ぼくはめいたんてい』シリーズや『ミルキー杉山のあなたも名探偵』シリーズが大好きでしたが、この次のステップで楽しめるちょうどいいミステリ小説を探していたときに出合ったこのシリーズは、まさに探していたレベル感の本でした。
本を読むことが子どもにとって大切だということは、多くの大人も感じていると思います。
ですが、放っておいて子どもが読書を楽しめるか…と言えば、そこは難しいのが現実。
大人と共に楽しむ絵本の読み聞かせとは違い、読書は基本的に1人でする行為です。
単に大人の目線で、「いい本だから」「ロングセラーだから」という選書基準だけで手渡していたら、忙しく他に刺激的な楽しみがたくさんある子どもは、いとも簡単に本から離れてしまう。
そこで大事なのは、子どもの「好き」の気持ちだと思います。
子どもが興味を持つジャンル、好きなこと、楽しそうと手を伸ばせるきっかけとなる本を。
大人の「読んで欲しい」の気持ちは一旦横に置いておき、子どもの興味関心にとことん心を寄せることが大切だと思います。
挿絵や装丁、子どもによっては文字数やルビの有無なども大事なきっかけのひとつです。
長い読書人生の中で小中学生の子どもは、ちょうど子どもと大人の中間のようなもの。
幼すぎず、背伸びもしすぎない、ちょうどいいあんばいの本を心から楽しむこと。
「1人で読めた!」「楽しめた!」の小さな経験を積んでいく。この積み重ねが、これから先のたくさんの本との出合いの下地になることは、間違いないと思います。
今年も子どものリアルな「今」に寄り添いながら、ちょうどいいあんばいの本と出合っていきたいです。
(文/ayumi)