一方で、ひとつのことに夢中になる気質が出ている子は別学のほうが向いていることもある。

「異性の目が気になるのが思春期。別学のほうが周囲を気にせず、好きなことに没頭できる面は少なからずあるでしょう」(齊藤さん)

■大学付属校はオトク?

 ここ数年続いた大学付属校人気は、落ち着くだろうというのが賢人たちの見立てだ。付属校人気が高騰した背景の一つには、文部科学省による私立大学の定員の厳格化がある。首都圏の私大が合格者数を一気に減少させ、大学入試が難化。さらに大学入試改革への不安もあり、安全策として付属校から入っておこうという動きが加速していた。ところがコロナ禍で状況は一変。地方在住の受験者が上京せず地元大学に進学するケースが顕著に増え、今後も私大志願者の減少が予想される。

「中高は進学校にしておいて、大学進学時に改めて選択肢を考えようという流れにシフトすることが考えられます」(矢野さん)

 私大付属校に合格するには相応の学力が必要だ。しかしそれだけの学力があるならば大学受験でさらに上位の大学を狙うのも可能で、付属校が「オトク」とは言い難い。

「私自身は付属校出身。学校にもよりますが、付属生全員に大学進学が保証されているわけではなく、成績不良で進学できない生徒もいます。かといって他大学を受験するにも進学校と比べると比較的のんびりと6年間を過ごしているので、進学校出身者との間に学力差があり太刀打ちできない。高校の成績で進学する学部学科も制約されます。倍率が高くて入りにくいならオトクな感じはしません」(kanaharuさん)

「付属校に進学させる意味は、『安心感』を手に入れること。大学受験の心配をせず、好きなことに打ち込めます。付属校にはOB・OGネットワークが強い、大学と提携した独自の教育などのメリットもあります。それらを勘案したうえで、付属校か進学校か、総合的に判断すべきです」(齊藤さん)

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