「自分の居場所に戻った気がしています」
オーケストラをバックに歌うコンサート「billboard classics(ビルボード・クラシックス)」に出演し続けるNOKKOは、今混じりけのない気持ちで音楽と向き合えているという。
「これを言うとレベッカのファンをがっかりさせちゃうかもしれないけれど……。私はもともとロックな人間じゃないんです。10代まで続けていたバレエをやめて、心の中にぽっかり空いた穴を埋めてくれたのがバンドでした。決まったメソッドの中で感情表現してきた私が、解き放たれたのがロックヴォーカルだった。とても楽しかったけれど、とまどいもありました。ロックって、リズムやメロディの上でアドリブをきかせるでしょ。そこに、R&Bやブルースやカントリーなど、シンガーの個性が表れる。でも、20代でレベッカで歌っていたころの私は、どうしていいかまったくわからなくて、自分がロックをやれているのか、右往左往しながら歌っていました」
しかし、そんなNOKKOの歌に多くのファンが熱狂した。レベッカでNOKKOが書く歌詞の主人公の多くは、不良になりきれない10代の女の子。そんなナンバーを迷えるNOKKOが歌うとリアルだった。蓮っ葉な女の子の詞を歌うNOKKO自身のパフォーマンスが蓮っ葉になりきれず、どことなく品性を感じさせてしまうところも新鮮だった。
「ビルボード・クラシックスで、最初にフルオーケストラのスコアが上がってきた曲は『Cotton Time』でした。初めてバンドで日本青年館のステージで歌った夜がよみがえった。青年館のときと同じ感覚だ、と。『Cotton Time』はレベッカでヒットしたアルバムに入っていますけれど、つくっているときはまだ売れていなくて、どうしたらいいのか、模索している時期でした。思い切り自分を出すしかないと開き直って、唯一といっていいバックグラウンドであるバレエ音楽の表現でパフォーマンスしたんですよ。その曲がフルオーケストラで鳴ったら、とても自然でした。これがあるべきスタイルだったんだ、と」
NOKKOは現在、アルバム制作のほかに、バンドでのライヴはもちろん、フルオーケストラのコンサート、ディナーショーなど、ソロシンガーとしても活動を続ける。生活の拠点は静岡県の熱海。