子育てのキーワードとなって久しい「自己肯定感」。自己肯定感とは、自分の存在自体を肯定し、大切にしようと思う気持ちですが、「自発力」をつけるためにも不可欠であるといわれています。自らがんばり続けるためには、自分のことを信頼する必要があるからです。

 行動科学に詳しい株式会社ネットマン代表取締役社長の永谷研一さんは次のように話します。

「目標を達成する、能力を発揮する、コミュニケーションをとるためにも、自己肯定感が大切だといわれています。しかしそれだけではありません。 最近では学力との関連性も明らかになりつつあります。2017年、文科省において6年生を対象に実施された国語と算数の学力調査においては、『自己肯定感の高い児童の正答率が高い』との発表がなされたのです」

「自発力」のみならず、子どものあらゆる面にプラスの影響を及ぼす自己肯定感。わが子にはぜひ身につけてほしい、という親の思いが空回りすることも。

「実は、自己肯定感は親子セットではぐくむものなのです。『親自身の自己肯定感が低いので、せめて子どもだけでも高くしたい』というお話をよく伺うのですが、それは難しい」(永谷さん)

 親の自己肯定感の低さは、子どものそれに影響を与えるといわれる中、自己肯定感が低い親はどうしたらいいのでしょうか?

「私は自己肯定感が低いことは、悪いこととは考えていません。そもそも人間の特性として『欠けたところに目がいく』ということがあります。つまり、人間は放っておくとマイナス面に目がいってしまう。それは子どもに対しても同じ。『~していない』『~できていない』とダメな部分ばかり注目して、言葉にしていないでしょうか」(永谷さん)

 親としては、「子どものために注意している」と思っていると思いますが、それが大きな弊害を及ぼしているといいます。

「子どもはマイナス面ばかり指摘されると、子ども自身も自分のダメな部分にばかり注目するようになります。これでは自己肯定感は育ちようがありません。また、子ども自身も周りにいるきょうだいや友だちのマイナス面ばかり見るクセがついてしまいます。『◯◯ちゃんはあれができていない』『◯◯ちゃんはいじわるだ』etc.これでは子どもの人間関係にも影響が出てしまいます」

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AERA dot.編集部
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