また、発達障害児の進学相談も数多く受けている進学コンサルタントの沖山賢吾さんも親や先生など、周囲の理解の大切さを強調します。

「ディスレクシアの子どもは、文字を読むこと、文字を書くことが苦手ですから、適切なサポートなしには、板書が基本の学校の授業についていくことができません。毎日の宿題の音読や、漢字書き取りも、苦行でしかありません」

沖山さんがさらに心配するのは、二次障害です。

「私はディスレクシアそのものよりも、周りの理解やサポートが得られないために、自分のことを『頭が悪い』と思い込んだり、不登校やうつ状態になってしまうなどの二次障害のほうが、問題が大きいと思っています」

 適切な道具を使えば、大変な苦労をせずに学べる子はたくさんいます。ディスレクシアの子が、専用の道具、例えば下敷き、定規、iPadを使うのは、視力の悪い子がメガネをかけるのと同じだと、沖山さんは言います。さらに、そのための道具や場を用意するのは、親の責任だとも。

「一番大変なのは小学校時代です。大きくなってパソコンが自由に使えるようになれば、ディスレクシアの症状に悩まされることがなくなる子もたくさんいます。将来働く場合には、手書きよりもパソコンを使うことがほとんどでしょうから、そこまで将来に対して悲観的になる必要はありません」(沖山さん)

『AERA with Kids 秋号』(朝日新聞出版)では、実際にディスレクシアの疑いを持つお子さんのお母さんも登場。わが子の心配をどう乗り越えていったかを紹介しています。

AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2017年 10 月号 [雑誌]

安浪京子,高濱正伸,陰山英男,石田淳

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AERA dot.編集部
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