キミは今暮らしている地域のどこが好き? どこが嫌い? 今回は国の政治より身近な地域の政治=地方自治について、一緒に考えてみよう。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、元鳥取県知事、早稲田大学公共経営大学院教授・片山善博さん監修の解説を紹介しよう。
■地方の課題は深刻な人口減少
日本一大きな自治体、東京都の議会の議員選挙が7月に迫り、今「地方自治」に注目が集まっているね。地方自治とは、地域ごとに自主的に行う政治のことで、私たちにとっては一番身近で、普段の暮らしと大きく関係がある。
日本全国の自治体の数は、47の都道府県、それを区切った1718の市町村、東京都の23区は特別区としてそれぞれ一つの自治体と認められているので、全部で1788ある。一つひとつの自治体の規模や特徴はさまざまだけど、どこも共通の大きな問題を抱えている。それが「人口減」と「東京一極集中」だ。
今、ごく一部を除くほとんどの自治体では人口が減少していて、地域全体の元気がなくなってしまっている。
【東京編】
■小池新党に高まる期待 一つの国に相当する大都市の選挙
昨年8月に小池百合子東京都知事が就任してから、東京都の政治を大改革しようという動きが話題になっているね。特に、東京都は一国に相当するくらい、経済規模が大きな都市。今年7月2日に行われる「東京都議会議員選挙」では、小池都知事が中心となる新しい地域政党「都民ファーストの会」が、どれだけの議席を獲得できるかに注目が集まっているよ。
ちなみに、朝日新聞社が都内の有権者を対象に行った世論調査では、小池都知事の支持率は74%だった。
■どうなる!? 豊洲市場の移転問題
<そもそも誰が決めたの?>
東京都が運営する中央卸売市場は、都民の食生活を支える大切な施設。中央区の築地市場は、建物の老朽化が進んだため、江東区の豊洲市場に昨年秋、移転する予定だった。しかし移転直前に、土地の汚染対策がきちんとされていなかったことが判明した。
もとは東京ガスの工場跡地だった豊洲市場への移転を、誰が、どんな判断で決めたのか? なぜ汚染対策に不備があったのか? 東京都議会はこれらを調べるための「百条委員会」を設置した。
<困惑する市場関係者や都民>
今後、豊洲市場に移転するのか、築地市場のままか、ほかの場所につくるのか――。小池都知事は、安心と安全が確認できるまでは判断しないという。しかし、先が見えずに不安を抱える市場関係者などからは、「市場の問題を都議選のアピールポイントにしないで、早く判断してほしい」という声も上がっている。