【地方編】
■人口減が止まらない!! 進学や就職で地元を離れてしまう
今、東京都市圏と愛知県、沖縄県以外の道府県では、人口が年々減少し、その多くが東京都に流入している。しかも、地域の将来を支える15~24歳の若者が、進学や就職をきっかけに上京するケースが多いという。
政府は地方を元気にするため「地方創生」を掲げ、東京から地方に就職する人にお金の支援をするなど、さまざまな取り組みをしているけれど、状況は改善されない。
■元気な自治体に学べ!
<子育てするなら奈義町で>
岡山県奈義町は、人口約6千の小さなまち。人口減少を食い止めようと、2012年に「子育てするなら奈義町で」というキャッチフレーズを掲げ、さまざまな子育て支援を打ち出した。すると、14年には女性1人が生涯に産むと見込まれる子どもの数(合計特殊出生率)が全国トップレベルの2.81を記録した。
<働き方を変えたい人が移住>
徳島県神山町は人口約5千、目立った観光名所のないまちだった。しかし9年ほど前から、IT関連の会社が進出し、インターネットの環境が整った。すると、ICT(情報通信技術)を利用して、場所や時間にとらわれない働き方「テレワーク」を求める人々が都会から次々と移住し始め、11年には転入が転出を上回った。
■ふるさと納税が大人気 応援したい地域に寄付するしくみ
地方では人口減少や高齢化が進み、どの自治体も財政難を抱えている。そこで政府は、2008年から「ふるさと納税」という制度をスタート。これは、本来自分の住んでいる自治体に払う税金を、故郷への恩返しや、他地域への応援という目的で、ほかの地域へ「寄付金」として納め、そのお礼として、地域の特産物などがもらえるしくみだ。ここ数年、寄付金を増やしたい自治体が、高級食材や家電など、返礼品の豪華さを競い合うようになり、それだけが目当ての利用者も多い。
(監修/元鳥取県知事、早稲田大学公共経営大学院教授・片山善博)
【キーワード:東京都議会議員選挙】
東京都の政治について決定する議員を選ぶ選挙。都議選。任期は4年で、定数は127。小池都知事の新党に対して、自民党は対立の姿勢、民進党は支持、公明党は連携を表明。共産党は中立の立場をとっている。
【キーワード:百条委員会】
地方自治法100条に基づき、自治体が議決によって設置する特別委員会。自治体の事務に関する調査を行い、関係者への聞き取りや記録の提出を義務づける。関係者はこれを拒否すると、罰則が科せられる。
【キーワード:地方創生】
東京一極集中を解消し、地方の人口や雇用の減少に歯止めをかけ、活性化を目指すこと。2014年9月に「まち・ひと・しごと創生本部」が設置された。本部長は安倍晋三首相、地方創生担当大臣は山本幸三氏が務める。
※月刊ジュニアエラ 2017年6月号より