毎日の生活のなかで子どもに「勉強しなさい!」と言わずに済んだらどんなにいいことでしょう。何も言わなくても自分からどんどん勉強をする子と、しない子との違いはいったい何なのか。それは親のちょっとした「仕掛けづくり」にあるようです。『AERA with Kids 春号』で、学習環境を考えるうえでの便利グッズやいろいろな人のアイデアを取材。その一部を紹介します。

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 気が付けばテレビを見てだらだら、おやつを食べながらぐずぐず……。そんな子どもの姿を見れば「勉強しなさい」「宿題は終わったの?」と言いたくなるのは当然のことです。

「自分から取り組める子とそうでない子の違いは、勉強に対するハードルの高さにあります」そう話すのは、教育評論家の親野智可等先生です。

「勉強をするときの『重い腰を上げてさあやるか』といった状況は、勉強に対するハードルが高い状態。反対に何も言わなくても自分から勝手にやり始められるのは勉強のハードルが低いから。この高さをいかに低くするかが、取り組みやすさに直結した部分。しかし、実はこの状況は子どもが自ら作ることは相当難しく、親のかかわり方次第で高くも低くもなるという現状があります。つまり、自分から勉強する子は、親が何も言わなくてもやるのではなく、やりやすい状況をつくっているから取り組めるという事実。まずここに気付くことが大切なのです」(親野先生)

 では、勉強へのハードルを下げるために親ができることとはいったい何なのでしょうか。

「自発的に勉強に取り組める状況は二つあります。ひとつは『宇宙飛行士になりたい』といった遠い将来の夢や『算数の通知表の<よくできる>を3つに増やす』といった近い将来の目当てなど、目標意識を持つこと。もう一つは勉強面のリトルサクセスを積んで勉強は楽しいものだと思えるようにすること。例えば、『できた!』と感じられるような簡単な計算やウオーミングアップ用の問題を解いて、小さな達成感を積んであげる。そうすると脳の線条体を刺激し、やる気スイッチが入りやすくなるという説があるんです」と親野先生は話します。

 その二つがある上で、自分から取り組むための学習環境としておすすめなのが、「その日のやることリストを書くこと」と「模擬時計を使って次に何をするかを『見える化』する」ということ。

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AERA dot.編集部
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