■一票が何十票、何百票に増えれば大きな力になる

 投票率が低く、政治に無関心とされている若者たち。でも、声を上げ、活動を始めた人たちもいる。

 投票に行かない理由について、「自分の一票では世の中が変わらないから」という声をよく聞く。でも、決してそんなことはない。昨年夏に国会で「安全保障関連法(安保法)」が議論されたときには、大規模な反対デモが行われた。そこには若者の姿もたくさんあった。結局、法律は成立したけれど、内閣支持率が下がった。デモに参加した人々の姿が、参加しなかった人にも影響を与えたのかもしれない。

 世の中には、不公平なこと、理不尽なことがいろいろある。確かに、一人の一票だけでは変えられないかもしれない。しかし、同じ考えの人が増え、何十票、何百票と増えていけば大きな力になる。特に、これまで政治に関心がないと思われていた20代や新しく選挙権を得た10代が動き出せば、新しい大きな動きが生まれる可能性がある。若者には、世の中を変える力があるんだよ。(監修・福岡政行/東北福祉大学特任教授)

【政治と選挙の基本を知ろう!】

■衆議院と参議院の違いは?

 国会は、法律をつくり、税金の使い方を決めるのが主な仕事だ。衆議院と参議院から成り立つ二院制をとり、定数や任期、被選挙権(立候補する権利)の年齢などを変えることで、幅広い意見を取り入れ、審議がじっくりと行われるようにしている。

<衆議院>
議員定数:475→465人
小選挙区選出 295→289人
比例代表選出 180→176人
任期:4年
任期途中で解散があれば、その時点で終了
解散:あり
選挙権:満18歳以上
被選挙権:満25歳以上

<参議院>
議員定数:242人
選挙区選出 146人
比例代表選出 96人
任期:6年
3年ごとに半数が選挙で入れ替わる
解散:なし
選挙権:満18歳以上
被選挙権:満30歳以上

※今年5月の国会で定数削減が決定(実施時期は未定)。

■政党の役割は?

 政策を実現するために、政治上の考え方が同じような人々が集まってつくる団体が政党だ。政権を担う政党を与党、そうではない政党を野党という。現在は連立政権を組む自民党と公明党が両院で議席の過半数を占めているため、与党の考えだけで法律を決めることができる。

【18歳選挙権ミニ知識】

(1)高校3年生でも18歳は◯、17歳は×
選挙権は、投票日に満18歳以上の日本国民に与えられる。このため、17歳と18歳の生徒が混在することの多い高校3年生では、同じクラスでも選挙権のある人とない人がいることになる。

(2)ビラ配りなども18歳ならOK
選挙期間中に特定の候補を応援する選挙運動も、18歳以上なら可能だ。例えば18歳と17歳のクラスメートが一緒に候補者のビラをまいた場合、18歳の人は問題ないが、17歳の人は罪に問われる可能性がある。

(3)「宿題、代わりにやるから投票して」は法律違反
18歳同士でも、「宿題をやってあげるから」「食事をおごってあげるから」と言って特定の候補者への投票を呼びかけたりすることは、選挙運動期間中であってもなくても、双方が買収罪に問われるおそれがある。

※月刊ジュニアエラ 2016年7月号より

ジュニアエラ 2016年 07 月号 [雑誌]

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AERA dot.編集部
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