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罪人という以上に病人 「覚醒剤」の本当の怖さとは?

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1回でもダメ!「覚醒剤」の怖さとは?(※イメージ写真)

1回でもダメ!「覚醒剤」の怖さとは?(※イメージ写真)

 小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』では、毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている。覚醒剤取締法違反(所持、使用)の罪で起訴された元プロ野球選手の清原和博容疑者。そもそも覚醒剤とは何なのか? 本誌より紹介する。

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 覚醒剤を持ち、使ったとして逮捕された元プロ野球選手の清原和博容疑者の初公判が、5月17日に開かれることになった。清原容疑者に覚醒剤を売った男も起訴され、裁判を受ける。

 覚醒剤とは、脳神経に働いて、一時的に脳の働きを活性化させる薬剤だ。一度使い始めると、なかなかやめられない。薬がきれると、体がつらくなるからだ。使い続けていると、同じ量の薬では効かなくなり、量が増えていく。やがて脳にも内臓にも悪い影響が出て、心身ともにボロボロになっていく。

 日本では、覚醒剤を使うことはもちろん、持つことも、売り買いすることも、製造・輸出・輸入することも禁止されている。第2次世界大戦が終わったあとに乱用者が増え、社会問題になったため、1951年に禁止する法律ができた。

 しかし、これを売ってもうけようとする暴力団などの悪い人たちはいなくならなかった。彼らは「これを使えば気分がよくなる」などと親切そうな顔でこっそり薬を売る。一度売れれば、にんまりだ。ずっと買ってもらえるし、値上げしたって売れる。

 しかし、買うほうは自分の健康を壊すためにお金を払っているようなものだ。法律違反の悪いことをしているとはいえ、一番の被害者は本人なのである。

 覚醒剤で捕まった人のなかで再犯者は6割を占める。捕まってもまた使うのは、体が薬を求めている、つまり「薬物依存症」という病気になってしまっているからだ。

 薬物依存症を治すのは簡単ではない。本人も周囲も、根気強く、地道に取り組む必要がある。そのための手法が海外で開発され、日本人に合ったプログラムも生まれている。どんなときに薬が欲しくなるのか、自分の心と体を理解することから始めるプログラムだ。そうやって、薬なしでいられる期間を延ばしていく。

 覚醒剤で捕まった人をつまはじきにしたら、本人はますます薬に頼りたくなってしまう。罪人という以上に病人だと理解して、病人が依存症から回復するのをみんなで助けるようにしたいものだ。

(解説・高橋真理子/朝日新聞科学医療部)

※月刊ジュニアエラ 2016年5月号より


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