カンヌ国際映画祭で最高賞を受賞した映画「万引き家族」(是枝裕和監督)で主演を務めるリリー・フランキーさん。じつは5年のひきこもり歴があるひきこもり経験者でもある。『不登校新聞』の編集長・石井志昂さんと、10代、20代の不登校・ひきこもり当事者ら男女5人が「いまの自分の悩み」をぶつけた。リリー・フランキー流の「生きやすくなるコツ」を紹介する。
* * *
――当事者A(10代・女性):今日はよろしくお願いいたします。私は中学2年生から不登校をしています。いじめを受けたせいか、まったく自分に自信が持てません。どうしたらいいのでしょうか?
リリー・フランキー(以下、リリー):キミ、いまいくつ?
――当事者A:18歳です。
リリー:18歳で自信満々なヤツなんて見ていてイライラするだけだから、そのままでいなさい。大人だって揺らぐし自分に自信がないのはいいことです。
当事者B(20代・男性):私も悩みを相談させてください。私は小学生で不登校をし、その後は高校・大学へと進み、いま就職活動中です。しかし自分に自信がないからなのか、どこへ就職したらいいかわからないんです。どこへ行ったら自分に向いているのか、成功するのか。ネガティブな想像はいくらでも思いつくんですが、ポジティブな想像ができません。
リリー:そういう予想って当たる?
当事者B:バイトならば想像とちがうときもありました。
リリー:予想は覆ります。さきのことは考えなくていいんです。みなさんは若いんだからバカなんです。みなさんが想像できる世界なんて先なんてたかが知れています。まじめに考えていたら、職業を選んだり友だちを選んだりしなきゃいけません。それって現実をよけいに難しくさせていることなんです。ちゃんと考えたつもりなのに結果がちがう、それが苦しくなる原因です。考えすぎるのはよくありません。
当事者C(20代・男性):考えすぎがよくないのならば「身体の反応」で決めるというのはどうでしょうか。自分の不登校をふり返ると「学校に身体が合わなかった」というのが結論です。いじめがあったとか、先生がいやだったとか、そういうことも思いあたりますが、なにより学校へ行こうとするとお腹が痛い。学校のある日の朝は眠すぎて起き上がれない。これってアレルギーとかといっしょで「身体が学校に拒否反応を示している」ってことかなと思うんです。