正倉院時代の古い文様を掘り起こし、七宝と鳳凰を描いた打ち掛け
正倉院時代の古い文様を掘り起こし、七宝と鳳凰を描いた打ち掛け
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桜と紅葉を全体にあしらったシックなデザインの若草色の打ち掛け
桜と紅葉を全体にあしらったシックなデザインの若草色の打ち掛け

 結婚披露宴前の会見で記念撮影に臨んだ女優・藤原紀香の振り袖姿に「さすが!」と思った。指輪をした左手を前に出し、右肩を引いて左前身頃の大きな扇の柄がよく見えるように立っている。なかなかこうはいかない。しかし、和装初心者の花嫁の皆さん、ご安心を。360度どこから見ても美しい衣装があるとのこと。どんな工夫があるのか?

 着物は通常、重ねて上になる左前身頃に大きな柄がくるよう仕立ててある。そのため、右襟元に柄がない場合も……。花嫁を右側から写真を撮るとさみしい印象を与えてしまうことがある。しかし、結婚式の出席者たちは、お構いなしに四方八方からシャッターを切り、そのままSNSにアップされてしまう場合もしばしばだ。そこで「どの角度から撮られてもきれいに写りたい!」という花嫁の要望に応えて新たな色打ち掛けが考えられた。

 開発したのは、結婚式をプロデュースするNOVAREZE(ノバレーゼ、東京都中央区)と織物の老舗・龍村美術織物(京都市)。七宝と鳳凰をモチーフとした伝統的な柄の鮮やかな赤色と、桜と紅葉を描いた若草色の2種類の打ち掛けを販売している。華やかな雰囲気だが、柄は全体に、しかも均一に施され、通常の打ち掛けよりも小ぶりだ。

 これまで友人の結婚式などでは金や赤、黒を基調とし、鶴や松竹梅などが左前身頃にドーンと大きく描かれた打ち掛けを見慣れてきたので「全体的に地味では?」と思ったりもする。率直な印象を伝えると、担当者は昨今の結婚式事情を交えて花嫁衣装のはやりについて教えてくれた。

「大きなホテルの金屏風の前で……という大掛かりな式は減ってきています。小・中規模でアットホーム、参列者との距離が近い式が増えており、庭園などで写真撮影をするのにマッチした衣装の人気が高いのです。角隠しではなく生花や造花を髪に飾りたい方も増えていますので、主張しすぎない打ち掛けが好まれます」(担当者)

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