北陸新幹線が狙われた!
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富山県内の警察署が作成した特殊詐欺の被害防止ステッカー
富山県内の警察署が作成した特殊詐欺の被害防止ステッカー

 詐欺グループの使えるものは、なんでも利用してやろうという習性なのか――「やっぱり」というか、「ついに」北陸新幹線による「上京型」特殊詐欺の被害が確認された。

 石川県羽咋市内に住む70代の男性が、長男と名乗る男から「投資に失敗したので、新幹線に乗って東京まで金を届けてほしい」といわれて上京したところ、現金1千万円をだまし取られた。

 「困っているわが子を助けたい……」と焦る親心を逆手に取って東京駅で詐取金を受け取る「上京型」詐欺は、新幹線沿線の多くの地方都市で相次いでいる。都内の地理に疎い高齢者を、携帯電話で指示を出してさんざん移動させ、不安をあおった末に現金を奪うケースもある。心身ともに与えるダメージは大きい。

 金沢―東京間が2時間28分、富山―東京間は2時間8分。北陸新幹線の開業前なら、「越後湯沢駅のホームで、接続の上越新幹線を待っているうち不安になり、念のため息子に電話してみたら詐欺だと分かって難を逃れた」ということもあったかもしれない。しかし、2時間ちょっとならあっという間。振り込め詐欺グループにとっては「乗り換えなし」で現金が届く。北陸新幹線は便利なツールになってしまうのだ。

 今年3月14日の北陸新幹線開業に前後して、「上京型」詐欺への対策はすでに練られていた。5月中旬の事件発生を受けて実施されたものも含め、JR西日本と石川・富山両県警が駅の構内や新幹線の車内で実施している水際対策には次のようなものがある。

 金沢・富山・新高岡・黒部宇奈月温泉の各駅では、「東京までお金を持ってきて、と言われたら詐欺を疑いましょう」などのアナウンスを流し、みどりの窓口付近に啓発用ののぼり旗を設置し、啓発チラシを配布している。また、東京方面に向かう上り列車の車内では、金沢駅と富山駅を出発直後、車掌がアナウンスで注意を呼び掛ける。

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