ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(C)朝日新聞社
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(C)朝日新聞社
星野リゾートの星野佳路代表(C)朝日新聞社
星野リゾートの星野佳路代表(C)朝日新聞社

 今回のコロナ・ショックで“カリスマ経営者”たちも苦戦した。

【写真】星野リゾートの星野佳路代表

 業容を拡大してきたソフトバンクグループ(SBG)は、2020年3月期決算で純損益が9615億円の赤字(前年は1兆4111億円の黒字)となり、過去最大の赤字に陥った。

 株価はこれに先立って急落。年明けの4千円台半ばから、3月19日には2610円と年初来安値を記録した。SBGはすかさず同23日、最大2兆円の自己株式の取得と、最大4.5兆円の資産売却(あるいは資金化)を表明した。保有する株式から借金を差し引いた「株主価値」は、昨年末に29兆円あったものの、今年3月末には1.3兆円減の28兆円まで低下してしまったのだ。

 それでもSBGの孫正義会長兼社長は、6月の株主総会で「大した問題ではない」と言ってのけた。資産売却について「私の腹の中ではめどがたっている」と述べ、最大4.5兆円の資金化が8割進んでいることを明かした。株価は持ち直し、7月には6千円台まで上昇した。

「つくづく運の強い方ですね。急速に“失地回復”を果たしています」

 孫社長をこう評するのは、株式アナリストの鈴木一之さんだ。復調した背景には、損失の根源だった米スタートアップ市場が値を戻しただけでなく、テレワークの常態化で出資先で米シェアオフィス大手「ウィーワーク」の利用が増えるなどしたためだという。

 観光業もコロナで暗転した。国内外に40超の宿泊施設を展開する星野リゾートも例外でない。訪日外国人客(インバウンド)が激減し、国内も外出自粛のムードが漂う。

 星野佳路社長は常々、国内旅行消費額のうち約8割が日本人の「国内観光消費」だと指摘してきた。それを示すように、3月から軽井沢で「温泉ワ―ケーションプラン」を提供。テレワークにも適した特別プランだという。7月には、沖縄県読谷村に「星のや沖縄」を開業させるなど、攻めの姿勢を貫く。

 政府の観光支援策「Go To トラベル」キャンペーンも追い風としたいところだが、しばらくはコロナに影響されそうだ。 (本誌・浅井秀樹)

※週刊朝日オンライン限定記事