(週刊朝日2020年12月11日号より)
(週刊朝日2020年12月11日号より)
青色申告の3大メリット (週刊朝日2020年12月11日号より)
青色申告の3大メリット (週刊朝日2020年12月11日号より)
小規模企業共済制度の特徴 (週刊朝日2020年12月11日号より)
小規模企業共済制度の特徴 (週刊朝日2020年12月11日号より)

 定年を迎え、年金がもらえる年齢になっても、まだまだ元気で働きたいというシニアは多い。ただ、退職したら、税金や年金、社会保険などは、すべて自分で考える必要がある。知らないと損をする、とっておきの制度や手続きを紹介しよう。

【表】青色申告の3大メリットはこちら

 働く高齢者は増えている。「高齢社会白書」によれば、65歳以上で働く人は2019年に900万人を超え、10年の1.5倍になった。労働者全体に占める割合も13.2%に上り、年々増えている。

 元気なシニアが増えたからだけではない。老後の資金に対する不安が高まっていることも大きい。日本人の平均寿命は男性81.4歳、女性87.5歳。60歳や65歳で定年を迎えても、残りの人生は20年や30年もある。

 その間の蓄えや備えをいかに作るかが重要だ。経済コラムニストの大江英樹さんは「働けるうちは働いて収入を増やすべきだ」と強調する。

「高齢者が働ける場は限られるのでは、と不安に思うかもしれません。しかしこれから定年になる年齢はもっと上がり、働く機会は増えていくでしょう。年金を頼りにする人も多いと思いますが、年金は本来、貯金ではなく、保険。何かあった時の備えであって、もらう時期はできるだけ遅らせたほうがいい。いつからもらったら得かどうかなど、損得勘定で考えるべきではない」

 とはいえ、もらえるものはもらっておきたいもの。年金をもらいながらも、有利に働く方法はないか。年金制度に詳しい社会保険労務士の北村庄吾さんは、「働きながら年金をもらう世代にとって、理想は『個人事業主』や『業務委託契約』などとして働くこと。厚生年金に入っていなければ、どんなに稼いでも年金は減らされません。一定程度稼ぐ自信があれば、自営業が有利」と話す。

 自営業と聞いて、長く会社勤めをした人にとってはハードルが高いと思うかもしれないが、やり方によってはさほど難しくはない。詳細は後述するとして、まずはメリットを紹介しよう。

 厚生年金に加入している人は、給料と年金を合わせた額が一定の額を超えると、もらえる年金はカットされる。

 今の制度では60~64歳は月28万円、65歳以上は月47万円を超えると、超えた分の半額が厚生年金から差し引かれる。カットされた年金は戻ってこない。

著者プロフィールを見る
池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

池田正史の記事一覧はこちら
次のページ