NTTドコモがついに動いた。12月3日、新プラン「ahamo(アハモ)」を発表。本体ブランドでの値下げを来年3月から始める。競合するKDDI(au)、ソフトバンクの大手2社は、あくまでサブブランドの値下げにとどまる。ドコモが菅義偉政権の方針に沿う格好で、他社に大きく差をつけた。
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「価格破壊に近いプラン」(調査会社MM総研の横田英明常務)と、業界に詳しい関係者にも衝撃を与えた。
ドコモの新プランは、最新の第5世代移動通信システム(5G)対応で、データ通信容量が20GB(ギガバイト)あり、5分の通話かけ放題も付いて月2980円。現行プランはいずれも、かけ放題にするには別料金が必要なので、類似の既存プランと比較しても3000円以上の値下げに踏み切った。他2社の4000円前後のサブブランド料金プランよりも1000円程度安い。
ちなみに現行の5G対応の「5Gギガホ」プランは100GBまでで月7650円、「5Gギガライト」は7GBまでで月6150円、3GBまでで4150円だ。
ただし、新プランはドコモメールが使えず、フリーメールを使わなければならない。契約手続きは店舗では対応せず、ウェブサイトを通じて利用者自身が設定する。
ドコモの井伊基之社長は発表会見で「20GBについては20代が一番ターゲットになるが、当社はこの層が一番弱い。他社にどんどんとられている」などと説明。対抗策を打ち出したという。
「これまでauやソフトバンクに先行されていたが、やっとドコモが“ゲームチェンジャー”になった。よほど危機感を持ったのではないか」と調査会社の天野浩徳MCA代表は話した。
圧倒的なブランド力のあるドコモの新プランについて、スマートフォンに詳しいジャーナリストの石川温さんは「多くのユーザーが乗り換えるのではないか」と話す。通話5分のかけ放題といった利点のほか、大手3社から格安会社に移った利用者がオンライン契約をほぼ経験済みであるため、“ドコモ回帰”もありそうだというのだ。
他の大手2社も、本体ブランドでの値下げを迫られることは必至だ。ドコモと同レベルのプランを導入せざるを得なくなる。