俳優・六角精児さんも“猫大好き”芸能人の一人。飼い猫「ひろしくん」について話を聞いた。
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わが家にはひろしくんという猫がいます。ひろしくんはよく行く飲み屋のご主人夫妻から譲っていただいた猫です。生まれは新潟の燕三条で、新幹線に乗ってやってきました。
名前の由来は、僕のいとこであるひろしくんです。子どものころによく遊んでいたので、親しみのある名前を考えていたら、なんとなくひろしくんになりました。
今、考えると日本の普通の猫なので、ひろしという普通で昭和的な名前はマッチしていると思いますね。
ひろしくんは、とてもやさしい猫で、どんなことをしても動じないんです。いたずらをしても、ギャーとかニャーとか怒ったりせず「やめてね」と言うくらいです。
妻がこまめに世話をしているので、ひろしくんは完全に妻に依存しています。なのでたまに妻が家にいないとき、ひろしくんは「どうしてママいないんだよ!!」と僕に文句を言いに来ます。そんなとき僕は「オレ知らないもんね~」ってな感じです。
ひろしくんはずっと家の中にいるのですが、時々外を見て「オレのほうが強いぞー!」って鳥にアピールしていることもあります。世間知らずだなあと思いますが、それがまた愛おしいところでもあります。
ひろしくんがやってきて8年になりますが、今ではひろしくんがいることが当たり前になっています。もう生活の一部です。でも、その当たり前のことが貴重なことだと思うのです。同時に平和なことでもあるのです。
僕が妻と食事をしたり、お酒を飲んだりと日々の生活を送っているとき、やはり他人同士なので争いごとも起こるのです。それが大きなことにならないのは、ケンカになりそうなとき、ひろしくんが「どうしたの?」と仲裁に入ってきてくれるからです。
平和って慣れてしまうと当たり前になってしまいますけど、実は平和を感じられるのは、とても幸せなことなんですね。その幸せをつくってくれるのがひろしくんなのです。
(本誌・鮎川哲也)
※週刊朝日 2020年12月18日号