竹下氏の炎上発言には、島根県独特の政治風土があるとも指摘する。
これまで島根県は竹下氏の異母兄、竹下登元首相、青木幹雄元参院幹事長という大物が牛耳ってきた竹下派王国。兄の登氏の他界、青木氏の引退で竹下氏にバトンがまわってきた。兄の秘書として長年、使えた竹下氏は後継者として衆院議員のバッジをつけ、政界入り。復興相、党三役も務め、竹下派の派閥会長にも就任した。
その影響力を最大限に見せつけるはずだった2019年の島根県知事選で、竹下氏が推す、自民党候補に丸山知事が圧勝。島根県議会では、自民党会派が丸山氏を支えるというねじれになっている。この敗北により、これまで脈々と続いてきた「竹下派支配」が崩れてしまったのだ。
「竹下氏は子分のような県議、市議らに反旗を翻され、知事選は負けた。竹下王国の威光は大きく後退した。丸山知事へ注意したのは、永田町での影響力を見せようとしたのでしょうが、完全に裏目に出ました。丸山氏周辺は竹下氏が嫌味を言っているという感じ。丸山氏の発言は、コロナが東京などと比べて圧倒的に少ない島根県知事として提案に過ぎない。竹下氏の苦言は気にしていないでしょう」(自民党の島根県議)
ガンを患い、闘病から復帰してまだ日が浅い竹下氏。
「選挙で負けた丸山氏には普段から愚痴っている。その延長のような発言ですが、派閥会合という公の場で言うとまずい。竹下氏は去年の総裁選でも出遅れて、派閥トップとして統率力がないと内部で不満が出ている。橋本氏のセクハラ擁護発言も丸山知事への苦言も竹下派が鉄の結束を誇った時代なら世間もスルーしてくれかもしれないが、今は派閥の数も減って、影響力が低下。時代が変わり、昔のようにはいかない」(竹下派の国会議員)
地元では「そろそろ、地盤を登氏の孫にあたるDAIGOに譲った方がいいのではないか」という声も出ているという。(本誌取材班)
※週刊朝日オンライン限定記事