サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で、日本がドイツを逆転で下した。優勝、準優勝各4回の強豪から歴史的な初勝利。目標の8強入りに向けて好発進した。
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こんなドラマが待っていると誰が予想しただろうか──。
現地時間23日、ドーハのハリファ国際競技場で、日本(世界ランキング24位)はドイツ(同11位)に挑んだ。
前半はドイツがボール支配率を約70~80%と高め、優位に進めた。33分には何度もピンチになっていた左サイドバックのオーバーラップを防げず、GK権田修一(33)の反則からPKを献上。これをドイツに決められ、日本はほとんどチャンスを作れないまま、前半を0-1で折り返した。
流れが変わったのは後半だ。同30分、左サイドでMF三笘薫(25)が起点となり、MF南野拓実(27)が折り返すと、ゴール前に詰めていたMF堂安律(24)が豪快にドイツゴールのネットを揺らし同点。勢いづいた日本はさらに同38分、自陣からのフリーキックに見事なトラップから抜け出したFW浅野拓磨(28)が勝ち越しゴールを決めて、2-1と逆転に成功した。
■後半途中からの出場
三笘、南野、堂安、浅野はいずれも後半途中からの出場だった。角度のないところから世界最高のGKといわれる名手ノイアー(36)の牙城を崩した浅野は、試合後の興奮が残る取材エリアでこう述懐した。
「前半はベンチで試合を見ながら、拓実くん(南野)と律(堂安)と0-1ならいけると話していた。その3人がゴールに関われたのは、たまたまかもしれないけど、信じていた結果」
浅野は4年前のW杯ロシア大会で、最後の最後で落選し、バックアップメンバーとして大会開始直後までチームに帯同するなど悔しさを味わった。その後も思うような結果が残せず、今回のメンバー入りについては一部で疑問視する声もあった。それでも批判の声をバネにし、大一番で大仕事をやってのけた。
「(前回落選した)4年前から一日も欠かさず、この日を想像しながら準備してきた。恐らくほとんどの人が僕がゴールを決めるなんて思っていなかったでしょうし、奇跡と言われるかもしれない。ただ、そうした声など無視してやってきてよかった」