大空幸星さん(撮影/写真映像部・上田泰世)
大空幸星さん(撮影/写真映像部・上田泰世)

──「望まない孤独」とは、一見孤独でなさそうでも、実は相談できる人がいないなどして一人で孤独に苦しむことですね。オンライン新歓をしたサークルもあるようですが、オンラインでは孤独を埋めることはできないのでしょうか。

 サークルもなかなか活動できませんでしたし、活動があっても対面では会えませんでした。そもそも友達を作る機会がなかったわけです。

 さらに、オンラインで活動があったとしても、なかなか個人的な関係を築くのは難しかったと思います。いきなりZoomで会って、友達になるのはハードルが高い。日常生活で、自由に、誰かと話す機会がなかったわけです。コロナによって人と人との繋がり方が断たれ、悩みを抱えていても周りの人に話しづらい環境になったということは間違いなくあったと思います。

■重層的になるほど困難

──大空さんの場合は、コロナ禍前から大学生活を送っていました。コロナ禍も友達との関係を続けられていましたか。

 そうですね。僕らもコロナ禍はもちろん友達と会いづらい環境だったと思いますが、大学からリアルで友達に会うなということまでは言われませんでした。コロナになる前から友人関係を築いた人とは、コロナ禍でも会う事は可能でした。やはり問題は当時の新入生たちが置かれた状況です。

──孤独を募らせていても、そう自覚するのは難しそうですね。

 自分の悩みを客観的に把握するというのは、非常に難しいことです。特に悩みが重層的になればなるほど、自分の抱えている苦しみや悩みというものに気づいて、さらに外部に相談する作業をするのは困難を極めます。

 悩みを抱えていたら気づけないのは当たり前です。

──気づかれるために、どのようなフォローが必要ですか。

 大学の学生相談窓口をもっと拡充させていく方法があります。なかなか予約が取れなくて、相談が1週間後という場合もあります。苦しいとき、その場で相談できるような仕組みを整えることが重要です。既存の学生相談の仕組みをアップデートしていくことはできるのではないでしょうか。

 他の相談窓口でも、夜は相談を受けつけていないところもあります。さらに、LINEでチャット相談できるところもありますが、LINEはユーザー登録の必要があり、電話番号を持たない人は使えません。

 とにかく、様々なところに小さな依存先をたくさん作るというのが一番いいと思います。一つの依存先にすべて対応してもらうのではなく、いくつもの依存先を作るということです。

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学生を見限っていると感じた