神社では、20年から通常の御朱印のほかに英語版、ウクライナ語版もつくっていた。2月24日、テチャナさんは御朱印に「ウクライナに栄光あれ」「ウクライナとともに」とのメッセージをウクライナ語で記し、神社の公式ツイッターとインスタグラムに投稿。それを見た遠方からの参拝者が増えたという。
千葉県柏市から電車とタクシーを乗り継ぎ、2時間余りかけて訪れたという女性(60)は、「ウクライナの状況に心を痛めていまして、少しでもテチャナさんを慰められたらいいな、と思って来たんです」と話し、本殿で手を合わせた後、持参したフラワーアレンジメントと手紙、菓子をテチャナさんに渡した。
フラワーアレンジメントには、ウクライナ国旗を模したパステルカラーの水色と黄色のリボンがかけられていた。それを受け取ったテチャナさんの表情が緩んだ。
「本当にありがたいです。日本人の優しさに改めて感謝しています。御朱印は一日も早く戦争が終結し、再び戦火が起きないように、また世界と日本の平和を願って、心を込めて手書きしています」
正樹さんもそんな妻をいたわりつつ、毎日の祝詞(のりと)の際、最後に平和を願う言葉を加えている。(高鍬真之)
※週刊朝日 2022年3月18日号