つみたてNISA、iDeCoなどで投資信託を積み立てる人が激増している。見よう見まねで資産運用を始めたはいいが、「出口問題」についてしっかり考えているだろうか。
出口問題=老後の売却(取り崩し)をどうするか問題のこと。投資は買うより売るほうが難しいのである。5月16日発売の「AERA Money 2022夏号」では、NISAの出口について詳細に解説している。
最悪なのは、いざ投資信託を取り崩そうとしたとき暴落に見舞われることだ。まずはリーマン・ショック後の株価の回復の仕方から「どうすればいいか」を学ぼう。
米国の株価指数、S&P500は2021年の1年間だけで27%も伸びた。それが2022年に入って様相は一変。ロシアがウクライナ侵攻を開始した2月24日には年初からの下落率が10%以上に達した(その後3月中旬から反発、4月上旬は下落)。
「60歳で退職。今年からNISAの投資信託(以下、投信)を取り崩そう」と思っていた矢先に、こういう下落があると売りたくなくなる。どうすればいいのだろう。
GMOクリック証券の谷口幸博さんが、暴落時の鉄則を語る。
「慌てて売らない。つみたて投資で、下落したとたんに売るほどもったいないことはありません」
2021年前半のような株価下落を見ると不安になり、つみたて投資自体をやめる人がいる。持っている投信や株式を売る人も多い。損失の拡大を防ぎたい一心だろうが、つみたて投資の場合、それは間違い。
相場が少し回復して、自分が投資した元本まで戻ったら「もう投資はこりごり。損することにおびえたくない。今なら損していないだけ儲けもの」と売る人もいる。
3年くらい様子を見る
「毎月定額で投信をつみたてている場合は、下がった分だけ安い基準価額でたくさんの口数を買えることになります。老後まで10年以上の時間がある現役世代は、下落をチャンスと捉(とら)えてください。リタイア間近な人も慌てて売らず、3年ほど様子見しましょう」