戦後、エレクトロニクスで第三次産業革命をリードした日本は、ハードからソフトに重点が移った第四次産業革命には完全に出遅れた! 今日の家電メーカーの凋落は、モノ作りでは戦えなくなった日本の姿を象徴している。そう、<「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と謳われた日本の黄金期は、第三次産業革命の勝利によってもたらされましたが、束の間の勝利に酔いしれている間に、世界は先に進んでしまったのです>。

 といわれてもピンとこない方は竹内薫『わが子をAIの奴隷にしないために』を読んでみよう。AI時代とはどんな時代で、そこで生き残るにはどうすべきかが大変わかりやすく書かれている。

 第四次産業革命の時代には、企業の会計係もコンビニのレジ係も建設現場の重機や農業機械の操作もAIにとってかわられ、無人化される。まるでSFだけれども、すると社会全体が変わる。

 まず会社ね。試験を受けて就職し、毎日会社に出勤するのは第三次産業革命時代の働き方。<第四次産業革命後の世界では、「大きな会社に入れば一生安泰」ということが、もはやありません>。人を雇わなくてもネットを介して優秀な技能者は探せるからだ。

 学校も変わる。子どもたちは学校に毎日通い、教科書を丸暗記するような勉強をしてきた。が、それも第三次産業革命時代の学び方。AIが暗記方面を担当する以上、いま必要なのは探究型の学習だ。<勉強ばかりじゃなくて遊びなさい!>の時代が来る。ところが日本の学校は、いまも暗記型の学習に固執している。不登校が増えたのは<子供たちが既存の教育に「NO」を突きつけ始めた>せいではないか。問題なのは子どもではなく学校だ、と。

 AI時代に必要なのは、答えのない問いへの答えを探る創造的な「ソフトスキル」だ。なぜってAIには人間のような意識もないし心もないから。そう考えれば<第四次産業革命とAI時代は「脅威」ではありません>。頭の切り替え、できただろうか。まずは現状を認識せよってことですね。

週刊朝日  2020年2月14日号