日差しが強い時季に子どもが目を赤くして帰ってきたら、紫外線の影響かもしれません。目の充血はすぐに治っても、それを繰り返していると将来的に目の病気を引き起こしたり、目の老化を早めたりすることにつながる可能性も。紫外線が目に及ぼす影響について、金沢医科大学眼科学講座の佐々木洋主任教授に聞きました。
【図表】眼科医監修「子どものサングラス選びのポイント」(全1枚)目の“日焼け”のサインは?
――強い紫外線を浴びると、目にはどのような影響がありますか?
強い紫外線を浴びたときに出る一般的な症状は、結膜炎と呼ばれる目の充血です。子どもが目を赤くして帰ってきても、親は花粉症や風邪の影響か、あるいはごみが入ったり手でこすったりしたのかもしれないと誤解しがちなのですが、実は紫外線の影響であることが多いと思います。
より強い症状としては、角膜炎があります。角膜(黒目)の表面に傷ができた状態で、異物感が出たり、目の疲れを感じたりします。炎症がさらにひどくなった状態は“雪眼”と呼ばれ、角膜表面の皮がむけて強い痛みを感じます。ゴーグルをしないで春スキーをしたときなどに起こりやすい症状です。
――紫外線の影響で子どもの目が充血している場合、どうすればいいでしょうか。
目の充血は、基本的には一晩で自然に治ります。角膜炎も数日で治りますが、翌日になっても痛みがある場合は眼科を受診することをおすすめします。ただし、目やにも出るという場合は、紫外線の影響ではない可能性が高いので、花粉症など別の原因を疑ったほうがいいでしょう。
――紫外線による目の充血を繰り返したり、長期にわたって強い紫外線を浴びたりすると、どのような影響が出るでしょうか。
目の病気を引き起こす原因になります。子どもでも発症するのが「瞼裂斑(けんれつはん)」です。黒目と白目の境にシミができて、それが徐々に大きくなり盛り上がっていきます。目の充血やドライアイを伴うこともあります。充血といっても結膜炎のように白目が全体的に赤くなるのではなく、黒目の脇にある白目の部分など、限局的に赤くなるのが特徴です。
次のページへ子どもの場合は地域差があり、屋外の部活もリスクに