津田塾大学の髙橋裕子学長(撮影/写真映像部・上田泰世)
津田塾大学の髙橋裕子学長(撮影/写真映像部・上田泰世)

 もうひとつは、ロールモデルが存在しているということ。女性教員からの影響を、それこそシャワーのように浴びています。私自身も、入学当初は留学など考えていませんでしたが、海外で学位を取った先生方の経験談に心躍り、2度留学を経験しました。また、卒業生も全員女性なので、多様な生き方に触れ、将来をイメージすることができます。本学には「女性初の」がつくパイオニアが、様々な分野で活躍しています。

――津田塾大学は、17年に女子大学として初めて「総合政策学部」を創設しました。

髙橋 社会の課題を解決できる女性の育成を目指しています。千駄ケ谷キャンパスにあるので企業や省庁、官庁、美術館などと連携がしやすく、活動も活発に行っています。

アメリカでは女子大人気が復活

――募集を停止する女子大もあり、女子大の危機が報じられています。

髙橋 24年の出生数が初めて70万人を割ったと話題になりましたが、日本の人口は減少の一途にあり、女子大に限らず多くの大学が危機に瀕しています。女子大ばかり「危機」が強調されることで、アンコンシャスバイアスがかかるのではないか、と残念に思います。アメリカでは近年、女子大の人気が戻っています。時代の要請に応え、変革の担い手となる女性を育成しているからでしょう。

――今後の抱負を聞かせてください。

髙橋 海外では、社会に出てから大学に戻って学び直すのがあたりまえになっています。日本でも、現役で働いている女性たちに学び直してもらいたい。特に数理、AI、データサイエンスやコミュニケーション力など、リスキリングの需要が高まっています。意欲がある女性は、ぜひ修士にチャレンジしていただきたいですね。

(聞き手・構成/ライター 柿崎明子)

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