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あんな出来事があった、こんな話題があった…と記事で振り返る「あのとき」。昨年の2月ごろに、多く読まれていた記事を紹介します(この記事は2024年2月14日に「AERA dot.」で掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。
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いまだ収束の兆しが見えない『セクシー田中さん』問題。原作の提供や脚色の経験がある、作家で演出家の鴻上尚史さんのXでの投稿が注目を集めている。問題の本質は、「原作者と脚本家ではなく、出版社とテレビ局です」と鴻上さんは話す。その真意を聞いた。
――なぜXにあのような投稿をしたのでしょうか。
ずっと心を痛めていたんですが、論点が原作者と脚本家の話、つまり、原作をリスペクトするべきかどうかとか、原作に忠実に脚本を書くことなどできないといったようなことがたくさん話されていて、この問題の本質からどんどん離れて行ってしまっているように思ったんです。Xで書きましたが、問題の本質は「原作者と脚本家」ではなく、「出版社とテレビ局」です。でも、一向にそのことを指摘する人が出てこない。だから、書きました。
――どうして問題の本質に言及する人が出てこなかったのでしょうか。
私のように原作を提供したり、脚色したりする経験があって、なおかつテレビ局や出版社に忖度しないで意見を言える立場の人が少ないということが一因だと思います。漫画家さんは、小学館と関係がなければ言いやすかもしれませんが、連載していたら難しいですよね。脚本家さんはいつテレビ局からお呼びがかかるかわからない。こちらも意見を言うことが難しい。それに今ネットでは「脚本家=悪」という空気があるので、余計に発信しづらいと思います。私がXに投稿した後、知り合いの脚本家の何人かから連絡があって、「よく言ってくれた」と言われました。それだけ、出版社やテレビ局に関係のある漫画家や脚本家には言えないことなんだと思います。