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ミラーレス機用大口径中望遠MFレンズ

 サムヤンは、韓国の三洋オプティクス社のレンズ。5月からケンコー・トキナーが販売代理店になったので、購入しやすくなるだろう。
 新登場の交換レンズは、ミラーレス機用。短いフランジバックの特性を生かし、小型化と大口径を同時に達成している。ただし、電子接点はなく、Exifにレンズ情報や絞り値は記録されず、MFレンズということもあり、マウントアダプターを介してクラシックレンズを装着したときの使用感覚に近い。
 50mmの焦点距離だが、APS-Cのミラーレス機では35mm判換算の画角で75mm(EOS Mでは80mm)相当になる。ライカではおなじみの画角だが、望遠系レンズが好きな人は、標準レンズの代わりとしても使える。
 開放F1.2という大口径なので個性的だが、あえて言うなら富士フイルムのXF56㎜F1.2Rがライバルとなるだろうか。今回は、Xマウント用を選び、富士フイルムX-T2を使ってみたが、相性はなかなかよかった。X-T2の電子ビューファインダーの性能が高いこともあり、拡大表示しなくてもフォーカスの追い込みが容易で、MFながらも快適に使えるのはいい。

開放絞り、最至近距離0.5mの撮影でレンズには厳しい条件。被写界深度は浅いが、なだらかなボケ味なので、不自然には見えない。優秀なレンズだ●富士フイルムX-T2・AE(絞りf1.2・1000分の1秒)・ISO200・AWB・RAW
開放絞り、最至近距離0.5mの撮影でレンズには厳しい条件。被写界深度は浅いが、なだらかなボケ味なので、不自然には見えない。優秀なレンズだ●富士フイルムX-T2・AE(絞りf1.2・1000分の1秒)・ISO200・AWB・RAW

デザイン
広めにとられたフォーカスリングのローレットもよく、絞り環もある。金属鏡胴だが、軽量なのもありがたい。特別に高級な仕上げではないが、見た目より実用を重視した設計なのだろう

使用感・操作感
フォーカスリングのトルク感も適宜で心地よい。フォーカスの追い込みが楽しいレンズで、EVF像の切れ込みがよく、条件によっては像を拡大しなくてもピント合わせが可能だ

描写性
フォーカスは、画質を重視したのか全群繰り出しの設計のようだ。AFレンズとは異なる描写を狙っている。中央部は開放から実用になる性能。ボケ味も自然で美しい。周辺光量低下も気にならない

◆赤城耕一

*  *  *

●焦点距離・F値:50mm・F1.2●レンズ構成:7群9枚●最短撮影距離:0.5m●画角:31.7°(約1.5倍APS-C)、30.0°(約1.6倍APS-C)、24.5°(マイクロフォーサーズ)●フィルター径:φ62mm●マウント:キヤノンEF-M、富士フイルムX、ソニーE、マイクロフォーサーズ●大きさ・重さ:φ67.5×74.5mm・380g(富士フイルムX用)●価格:オープン(実売税別約7万5000円)

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