衆議院選挙で与党(自公)の議席が過半数割れとなり、不安定さが増す政権運営。5日には米大統領選が控える中、経済の行方も見通しにくくなっている。
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石破茂首相が就任早々に仕掛けた奇襲は、まさに典型的な悪手だった。10月27日の衆議院選挙で与党は大敗し、15年ぶりに過半数(233議席)割れとなった。巷では結果が確定した直後から、政局を巡って様々な臆測が飛び交っている。
与党としては国民民主党や日本維新の会を連立に交えたいところだろうが、10月30日時点では両党とも参加を拒絶している。掲げる政策の違いなどから、立憲民主党を軸とする野党の連立にも無理があるのも確かだ。
国民民主党の玉木雄一郎代表は「よい政策には協力し、ダメなものにはダメだと言う」と述べ、「部分連合」の可能性について真っ向からは否定していない。とはいえ、部分連合にすぎなければ、少数与党の状態から抜け出せたとは言いがたい。
政策面で野党に譲歩
こうしたことから、石破政権の短命説が急浮上。1994年に非自民の連立で組閣された羽田孜政権(首相在任64日)はおろか、東久邇宮稔彦王政権(同54日)の最短記録更新も囁かれる。衆院過半数割れのままでは野党が提出した内閣不信任案が可決されやすく、その場合には内閣総辞職もしくは議会解散を迫られるから、短命説が取り沙汰されるのも無理はない。
いずれにしても、与党が今後も政権を維持していくためには、一部の野党に対して政策面での譲歩を迫られることになりそうだ。選挙戦の街頭演説で石破首相は、昨年度の補正予算(国費13兆円、事業総額37兆円)を上回る経済対策を実施すると宣言していた。野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんはこう指摘する。
「野党の一部の協力を得る場合には、低所得層に限らずより広範囲な国民を対象とする給付金を支給するなど、規模が大きくなるだろう。さらに将来的には、与党が反対する消費税率の引き下げや消費税の廃止などを、協力する野党から求められる可能性もあるだろう」
加えて、立憲民主党と共産党以外の野党は金融緩和の継続を求めている。野党の影響力が強まることで、日本銀行の追加利上げの時期は先送りされる可能性が高まると木内さんは推察する。